ダイスウェル(Die Swell)とは、押出機のダイ(口金)から溶融樹脂が出た直後に、樹脂の径や厚みがダイの出口よりも大きく膨らむ現象のことです。
押出成形では非常に重要な現象で、「バラス効果(Barus Effect)」とも呼ばれます。
■ ダイスウェルとは
ダイの中では、溶融樹脂は狭い流路を通るため、大きなせん断力を受けて変形しています。
ダイから出た瞬間、その拘束がなくなると、
樹脂が元の状態に戻ろうとして膨らむ
これがダイスウェルです。
■ イメージ
ダイの中
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ダイから出ると
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出口より太くなります。
■ なぜ膨らむのか
溶融樹脂は粘性だけでなく弾性も持っています(これを粘弾性といいます)。
ダイの中では、
- 引き伸ばされる
- 圧縮される
- せん断変形する
ことで、樹脂の分子鎖にひずみ(弾性エネルギー)が蓄えられます。
ダイを出ると、そのひずみが解放されるため、樹脂が回復して膨らみます。
■ ダイスウェルに影響する要因
● 樹脂の種類
弾性の大きい樹脂ほどダイスウェルは大きくなります。
例
- LDPE(大きい)
- HDPE
- PP
- PVC(比較的小さい)
● 押出速度
押出速度が速いほど、
せん断が大きくなり、
ダイスウェルも大きくなる傾向があります。
● ダイの形状
短いダイでは、
樹脂が十分に落ち着く前に出るため、
ダイスウェルが大きくなります。
● 樹脂温度
温度が高いほど流れやすくなり、
一般的にはダイスウェルは小さくなる傾向があります。
■ ダイスウェルによる影響
● 寸法が変わる
例えば、
直径10 mmのダイでも、
押し出された製品は11~13 mmになることがあります。
そのため、
ダイは完成寸法より小さく設計します。
● 厚みムラ
フィルムやシートでは、
厚みのばらつきにつながることがあります。
● 表面不良
スウェルが不均一だと、
形状が乱れたり表面に影響が出たりします。
■ 対策
- ダイ形状を最適化する
- 押出速度を調整する
- 樹脂温度を適切に設定する
- スクリュー回転数を見直す
製品の形状や材質に応じて条件を調整します。
■ 現場的な理解
シンプルに言うと、
「押さえつけられていた樹脂が、ダイから出た瞬間に元へ戻ろうとして膨らむ現象」
です。
■ ダイスウェルが重要な製品
ダイスウェルは、次のような押出製品で特に重要です。
- パイプ
- チューブ
- 異形押出品
- フィルム
- シート
- モノフィラメント
これらは寸法精度が求められるため、ダイスウェルを考慮してダイを設計します。
■ 覚え方
Die(ダイ)+ Swell(膨らむ)
つまり、
「ダイから出た樹脂が膨らむ現象」
と覚えると分かりやすいでしょう。
現場でのワンポイント
押出成形では、「ダイの形状=製品の形状」ではありません。
実際にはダイスウェルや、その後の冷却による収縮も考慮してダイを設計します。この補正技術は「ダイ設計」の重要なノウハウの一つです。


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