ダイ内積層(ダイないせきそう)とは、複数の押出機から送られた異なる溶融樹脂を、ダイ(口金)の内部で合流・積層させ、一度の押出で多層構造の製品を作る技術です。
「共押出(Coextrusion:コエクストルージョン)」の代表的な方法の一つで、食品包装フィルムや多層シートなどの製造で広く利用されています。
■ ダイ内積層とは
それぞれの押出機で溶かした樹脂を、ダイの内部で重ね合わせ、そのまま押し出します。
押出機A(PP)
│
├──┐
│
押出機B(EVOH)
├──→【ダイ内部】→ 多層シート
押出機C(PP)
├──┘
│
ダイの中で樹脂が積層され、そのまま一体となって押し出されます。
■ 仕組み
例えば5層フィルムでは、
PP
接着層
EVOH
接着層
PP
という構成になります。
ダイ内部には各層専用の流路があり、それぞれの樹脂は混ざることなく重なった状態で出口まで流れます。
■ なぜ積層するのか
1種類の樹脂では、すべての性能を満たせないことがあります。
例えば、
- PP:耐薬品性・シール性
- EVOH:ガスバリア性
- PA(ナイロン):強度・耐摩耗性
これらを組み合わせることで、それぞれの長所を活かした製品を作ることができます。
■ 主な用途
- 食品包装フィルム
- レトルトパウチ
- 医療用フィルム
- 飲料ボトル
- 自動車用燃料タンク
- 建材用シート
■ メリット
● 一体成形できる
積層と押出を同時に行うため、生産性が高くなります。
● 層間密着性が高い
樹脂が溶融状態で積層されるため、適切な材料の組み合わせであれば強固に一体化できます。
● 高速生産に向く
後工程で貼り合わせる必要がなく、連続生産に適しています。
● 厚み制御しやすい
各押出機の吐出量を調整することで、各層の厚みを細かく制御できます。
■ デメリット
● ダイ構造が複雑
流路設計には高い技術が必要です。
● 材料の組み合わせに制約がある
相性の悪い樹脂同士は接着しにくいため、
接着性樹脂(タイレイヤー)
を挟むことがあります。
● 条件調整が難しい
各樹脂で
- 温度
- 粘度
- 流量
をバランスよく合わせる必要があります。
■ よくある不良
- 層間剥離
- 層厚みのばらつき
- 界面の乱れ
- ゲル・異物
- ダイライン
■ ダイ外積層との違い
| ダイ内積層 | ダイ外積層 |
|---|---|
| ダイの中で積層 | ダイの外で積層 |
| 共押出による一体成形 | シートを後から貼り合わせる |
| 生産性が高い | 材料の自由度が高い |
| 層間密着性に優れる | 異種材料を組み合わせやすい |
■ 現場的な理解
シンプルに言うと、
「溶けた樹脂をダイの中で重ねて、そのまま押し出す積層技術」
です。
■ 重要なポイント
ダイ内積層では、
「各層の流量バランス」と「樹脂同士の相性」
が品質を左右します。
そのため、各押出機の吐出量や樹脂温度を精密に制御し、必要に応じて接着性樹脂を使用することが重要です。
覚え方
- ダイ内積層:ダイの中で樹脂を重ねる(共押出)
- ダイ外積層:ダイの外でシートやフィルムを貼り合わせる
この2つの違いを押さえておくと、積層技術全体の理解がさらに深まります。


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