ダイスライドインジェクション(Die Slide Injection)とは、金型の一部(ダイ・スライド部)を移動させながら、1台または複数台の射出装置で異なる樹脂を順番に射出する成形方法です。
主に多色成形(2色・3色成形)や異種材料成形で使用されます。
■ ダイスライドインジェクションとは
最初に1種類目の樹脂を射出して成形し、その後、金型の一部をスライドさせて位置を変え、2種類目の樹脂を射出します。
これにより、異なる色や材料を一体化した製品を作ることができます。
■ 基本イメージ
① 第1射出
┌────────┐
│ 樹脂A │
└────────┘
↓
② 金型をスライド
↓
③ 第2射出
┌────────┐
│樹脂B│樹脂A│
└────────┘
一度成形した製品を金型内で移動させ、次の樹脂を射出するのが特徴です。
■ 成形の流れ
① 金型を閉じる
↓
② 樹脂Aを射出
↓
③ 金型のスライド部を移動
↓
④ 樹脂Bを射出
↓
⑤ 冷却
↓
⑥ 製品を取り出す
■ 特徴
● 一体成形できる
接着や組立工程が不要になります。
● 高い位置精度
金型内で製品を移動するため、
位置ずれが少なく、高精度です。
● 多色・異材成形が可能
例えば、
- 黒+白
- 硬質樹脂+軟質樹脂(エラストマー)
などの組み合わせができます。
■ 主な用途
- 自動車のスイッチ類
- 電動工具のグリップ
- 歯ブラシの柄
- 家電の操作ボタン
- 医療機器部品
■ メリット
- 組立工程の削減
- 接着剤が不要
- 製品品質の向上
- 生産性の向上
- デザイン性の向上
■ デメリット
● 金型が複雑
スライド機構が必要なため、設計・製作コストが高くなります。
● 成形機が大型化しやすい
スライド機構や複数の射出ユニットを備える場合があります。
● 条件設定が難しい
樹脂ごとに
- 温度
- 射出圧力
- 冷却時間
などを最適化する必要があります。
■ よくある不良
- 樹脂同士の接着不良
- バリ
- 位置ずれ
- ウェルドライン
- 寸法不良
■ 回転盤方式との違い
多色成形では、「ダイスライド方式」と「回転盤(ロータリープラテン)方式」がよく比較されます。
| ダイスライド方式 | 回転盤方式 |
|---|---|
| 金型の一部を横方向にスライド | 金型やプラテンを回転させる |
| 比較的シンプルな構造 | 多工程・大量生産向き |
| 2色成形でよく採用される | 2色・3色以上にも対応しやすい |
■ 現場的な理解
シンプルに言うと、
「金型の位置をずらして、違う樹脂を順番に射出する多色成形技術」
です。
■ 重要なポイント
ダイスライドインジェクションは、
「組立工程を成形工程に置き換える技術」
ともいえます。
そのため、
- 部品点数の削減
- 生産効率の向上
- 製品の高機能化
に大きく貢献しており、自動車や家電、医療機器など幅広い分野で活用されています。
今回の用語は、多色成形技術の中でも重要なものです。今後「回転コア方式」「ロータリープラテン方式」「インサート成形」「アウトサート成形」などを学ぶと、それぞれの違いや使い分けがより理解しやすくなります。


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