スパイダーヘッド(Spider Head)とは、主にパイプ・チューブ・電線被覆・ブローフィルムなどの中空押出成形で使われるダイヘッドの一種で、内部にあるスパイダー(支持脚)でマンドレルを支える構造のダイヘッドです。
前回の「スパイダー方式」を実際の装置構造として見たものが、スパイダーヘッドと考えると分かりやすいです。
1. スパイダーヘッドとは?
押出機から送られた溶融樹脂を、中空形状(パイプ状・チューブ状)に成形するヘッド部です。
内部には、
- マンドレル(芯金)
- スパイダー(支持脚)
- 流路(フローチャンネル)
があります。
中央の芯金を数本の脚で支え、その周囲を樹脂が流れる構造です。
流れのイメージ:
押出機 → スパイダーヘッド → 樹脂が分流 → 再合流 → 中空押出品
です。
2. 構造
① マンドレル(芯金)
製品内部の空洞を作る部分です。
例えば、
- パイプ内径
- チューブ内径
を決めます。
② スパイダー脚
芯金を固定する支柱です。
通常:
- 3本脚
- 4本脚
- 6本脚
などがあります。
脚が多いほど支持性は上がりますが、流れが複雑になります。
③ ダイリップ
出口部分で最終寸法を決めます。
ここで、
- 外径
- 肉厚
- 真円度
に大きく影響します。
3. 特徴(メリット)
① 構造がシンプル
比較的作りやすく、
- メンテナンスしやすい
- 清掃しやすい
- コストが低い
のが特徴です。
② 高粘度樹脂に向く
流路が比較的単純なので、
- HDPE
- PVC
- 高充填樹脂
などでも使いやすいです。
③ サイズ変更が比較的容易
芯金や口金交換で、
- 外径変更
- 肉厚変更
がしやすいです。
4. デメリット(重要)
ウェルドライン(融着線)が出る
最大の特徴であり弱点です。
樹脂がスパイダー脚で分流し、再び合流するため、
脚の後方に融着ラインが発生します。
その結果:
- 強度低下
- 割れ起点
- 外観不良
- 透明品の筋
が出ることがあります。
特に、
- 透明チューブ
- 高品質外観品
では問題になりやすいです。
5. 用途
よく使われるのは:
- パイプ押出
- ホース押出
- チューブ成形
- 電線被覆
- ブローフィルム
です。
特に一般工業用途では非常に普及しています。
6. スパイラルヘッドとの違い
スパイダーヘッド
- シンプル
- 安価
- 清掃容易
- ウェルドラインあり
スパイラルヘッド
- 均一流動
- 肉厚精度が高い
- ウェルドが目立ちにくい
- 高価・複雑
つまり、
量産性・コスト重視 → スパイダーヘッド
品質・均一性重視 → スパイラルヘッド
という使い分けが一般的です。
7. 現場でよくある不良
| 不良 | 原因 |
|---|---|
| 肉厚ムラ | 芯ズレ・温度ムラ |
| ウェルド弱い | 樹脂温度低い |
| ヤケ | 滞留樹脂 |
| 真円不良 | センタリング不良 |
ひとことで言うと:
スパイダーヘッドは「スパイダー脚で芯金を支えながら樹脂を流し、中空押出品を作る実用的なダイヘッド」で、パイプ・チューブ押出の定番構造です。


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