充填

射出成形における充填(filling)とは、
スクリューの前進によって溶融樹脂を金型キャビティに流し込み、空間を満たす工程のことです。

成形サイクルの中では、

  1. 計量(次ショットの樹脂をためる)

  2. 充填(樹脂をキャビティに流す)

  3. 保圧(収縮分を補う)

  4. 冷却

  5. 型開き・取出し

という流れの中で「充填」は射出の前半ステージにあたります。

充填の目的

  • 金型キャビティの隅々まで樹脂を行き渡らせる

  • 成形品の外観や形状を再現(転写性の確保)

  • 保圧工程にスムーズに移行できる状態をつくる

充填に関わる条件

  1. 射出速度

    • 速すぎる → バリ、ジェティング、焼け

    • 遅すぎる → ショートショット、転写不足

  2. 射出圧力

    • 速度を維持するための駆動力

    • 樹脂が奥まで届くかどうかに直結

  3. 樹脂温度・金型温度

    • 樹脂が流れやすいかどうかを決定

    • 温度不足だと途中で固まってショートショットになる

  4. 切替位置(充填 → 保圧の切替点)

    • 適切でないと、充填不足やバリの原因になる

充填不良の例

  • ショートショット(樹脂が最後まで届かない)

  • フローマーク(流れ模様)

  • ジェティング(糸状跡)

  • シルバーストリーク(銀条)

まとめ

充填とは、溶融樹脂を金型キャビティに流し込む工程であり、

  • 射出速度

  • 射出圧力

  • 樹脂温度・金型温度

  • 切替位置

が大きく影響します。
この充填工程の安定化が、その後の保圧・冷却・寸法精度・外観品質に直結します。

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