型開時間とは?
射出成形サイクルの中で、金型を閉じた状態から完全に開ききるまでにかかる時間です。
型開時間は、製品の取り出しや冷却後の次工程に移るために必要な動作時間のひとつです。
射出成形サイクルの中での位置づけ
成形1サイクルを簡単に表すと:
1️⃣ 型閉じ
2️⃣ 射出・保圧
3️⃣ 冷却
4️⃣ 型開き ← ここが型開時間
5️⃣ 取出し・排出
👉 型開時間はサイクルタイムの短縮にも関係します。
型開時間の決まり方
型開時間は、主に以下の要素で決まります:
要素 | 内容 |
---|---|
型開速度 | 機械で設定可能。速いほど短縮できる。 |
型開ストローク長さ | 金型がどのくらい開く必要があるか(取出しのための空間確保) |
安全考慮 | 速すぎると振動や型の衝撃につながるので注意 |
取出し機の動作タイミング | 取出しロボットと連動して最適化 |
型開時間の目安(参考値)
成形機サイズ | 型開時間 |
---|---|
小型機(〜100t) | 0.5〜1.5秒 |
中型機(〜350t) | 1〜3秒 |
大型機(500t〜) | 2〜5秒 |
※高速成形用の電動機ではもっと短縮できることもあります。
型開時間の調整ポイント
状況 | 調整の考え方 |
---|---|
通常成形 | スムーズで無理のない速度設定 |
高速成形 | 型開速度UP、ストローク短縮の工夫 |
大型製品 | ストロークが長くなるため時間も長くなる |
精密・光学成形 | 型保護のため低速型開が望ましい |
型開速度の段階制御例
多くの成形機は、型開速度も段階制御します:
区間 | 動作 | 目的 |
---|---|---|
① 型合わせ離脱(低速) | 最初ゆっくり離れる | 型保護 |
② 中間高速開き | 一気に開く | 時間短縮 |
③ 開終端減速 | 最後ゆっくり停止 | ショック防止 |
型開時間を短縮する工夫
-
型開ストロークをできるだけ短く設定
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型開速度プロファイルを最適化
-
取出しロボットとの動作同期を取る
-
型開ストロークセンサー利用で停止位置精度向上
型開時間が影響するトラブル例
トラブル | 原因 | 対策 |
---|---|---|
型ショック音 | 開速度が速すぎ | 開速度調整・緩衝設定 |
振動・型ズレ | 過剰速度 | スムーズな加減速設定 |
取出し干渉 | 型開き不足 | ストローク再設定 |
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | 型開時間(Mold Opening Time) |
定義 | 型が完全に開くまでの時間 |
目安 | 数秒程度 |
調整要素 | 型開速度、ストローク、安全設定、ロボット連動 |
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