ベント式成形機

ベント式成形機とは
スクリュー途中に「ベント(脱気孔)」を設けて、樹脂中のガスや水分を抜きながら可塑化(溶融)する射出成形機のことです。

英語では「vented injection molding machine」または「degasifying injection molding machine」と呼ばれます。

ベント式の目的

通常の射出成形機では、材料ペレットを加熱して溶かしますが、
材料の中には空気・水分・揮発成分が含まれています。

これらが残ったまま射出すると、

  • ガス焼け(黒筋)

  • ボイド(気泡)

  • ショートショット

  • 溶融不良
    などの不良につながります。

そこで、溶融途中でガスを排出できる構造にしたのがベント式です。

ベント式スクリューの構造

スクリューが大きく 3つのゾーン に分かれています。

 
ホッパー → [供給ゾーン][ベントゾーン][計量ゾーン] → ノズル
ゾーン 役割 特徴
供給ゾーン 固体樹脂を送り込む 通常のスクリューと同じ
ベントゾーン 溶けた樹脂の中のガスを抜く シリンダに脱気孔がある
計量ゾーン 射出量を調整する 均一に混練して計量

ベントゾーンの特徴

  • この部分では、スクリュー溝が深くなり、圧力が一時的に下がるよう設計されています。

  • その圧力差で、樹脂中の空気・ガス・水分がベント孔から外へ抜けます。

  • ベント孔は通常、真空ポンプで吸引されており、確実にガスを除去します。

ベント式成形機の利点

メリット 内容
🟢 ガスや水分を除去できる ガス焼け・気泡・銀条などの不良を防止
🟢 乾燥工程が省ける 吸湿性樹脂(PA, PC, PETなど)でも乾燥不要で成形可能
🟢 揮発分の多いリサイクル材に対応 リサイクル樹脂や混合材でも安定成形
🟢 製品品質の安定 密度・外観・強度が均一化される
🟢 成形条件の幅が広い 射出圧や温度設定の自由度が増す

デメリット・注意点

デメリット 内容
🔸 溶融樹脂がベントから漏れやすい 過剰な溶融やスクリュー摩耗に注意
🔸 設備コストが高い 真空ポンプ・ベント装置の追加が必要
🔸 メンテナンスが必要 ベント孔の詰まり、真空漏れなどに注意
🔸 すべての樹脂に適するわけではない 非吸湿性樹脂では効果が薄い(例:PE, PP)

ベント式が効果的な材料例

樹脂 特徴 ベント式の利点
PA(ナイロン) 吸湿性が非常に高い 乾燥工程省略・ガス抜き可能
PET 吸湿・分解しやすい 透明性・強度の維持
PC(ポリカーボネート) 吸湿で気泡が出やすい 外観・寸法安定性向上
PBT 吸湿・揮発分あり ガス焼け防止
リサイクル材 不純物・揮発分多い 揮発成分除去で安定化

ベント式の応用分野

  • 吸湿性樹脂の成形(PA, PC, PETなど)

  • リサイクル材・再生樹脂の成形

  • 複合材料(ガラス繊維入り、難燃剤入りなど)

  • ガス抜きが必要な透明・薄肉部品

まとめ

項目 内容
名称 ベント式成形機(Vented Injection Molding Machine)
特徴 スクリュー中間部に脱気孔(ベント)を設けてガスを除去
主な効果 水分・ガス除去による不良低減、乾燥省略
適用樹脂 吸湿性樹脂(PA, PC, PETなど)
注意点 樹脂漏れ防止・ベント清掃が必要

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