キュア(硬化)

キュア(Cure)」とは、主に熱硬化性樹脂やゴムなどで使用される用語で、「化学反応によって材料が硬化・固化する工程」を指します。射出成形で使われる熱可塑性樹脂には基本的に該当しませんが、熱硬化性樹脂や液状シリコーン(LSR)、ゴム射出成形では重要な工程です。

キュア(Cure)とは?

定義:

熱や時間、圧力を加えることで、材料内部で架橋反応(化学反応)が起こり、最終的に硬化・安定化すること。

射出成形におけるキュアの適用分野

材料種別 キュアの必要性 備考
熱可塑性樹脂(PP、ABSなど) ❌ 不要 冷却による物理的固化のみ
熱硬化性樹脂(フェノール、メラミンなど) ✅ 必須 キュアにより初めて形状が確定
液状シリコーンゴム(LSR) ✅ 必須 成形後の加熱により硬化
ゴム成形 ✅ 必須 硫黄などによる加硫反応(これもキュアの一種)

キュアのプロセス(例:熱硬化性樹脂)

  1. 充填

    • 溶融状態でキャビティに流し込む。

  2. 加圧保持

    • 所定の圧力でキャビティ内に保持。

  3. キュア(硬化)

    • 金型加熱(120~200℃程度)により化学反応が進行。

  4. 冷却・取り出し

    • 完全に硬化・化学反応が終わった状態で製品を取り出す。

キュアとサイクルタイムの関係

  • 熱硬化性の場合、「キュア時間が成形サイクルのボトルネック」になることが多い。

  • キュア時間が不十分だと:

    • 製品表面は固くても、内部は未硬化(under-cure)

  • キュア時間が長すぎると:

    • オーバーキュア(過硬化)による脆化や分解の恐れ

管理のポイント

項目 説明
金型温度 一定以上で化学反応を促進(温度が低すぎると硬化不良)
保圧時間 硬化が進むまでの成形圧力維持が必要
材料のポットライフ 可使時間内に成形を完了させる必要あり
硬化度の検査 成形後のショア硬度や赤外線分析で確認する場合あり

キュアが関わる代表的な成形法

  • 熱硬化性射出成形(BMC、フェノール系)

  • LSR成形(液状シリコーンラバー)

  • ゴム射出成形(加硫工程を含む)

  • CFRP成形(プリプレグを用いた加熱硬化) → 特殊用途

用語の補足

用語 意味
キュアサイクル 時間・温度・圧力の組み合わせによる硬化工程
ポストキュア 成形後、さらに炉などで二次硬化する処理(精密部品や高耐熱要求時)
加硫(バルカナイゼーション) ゴムのキュア工程の一種(硫黄架橋)

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