「ゲートバランス(Gate Balance)」とは、複数キャビティを持つ金型(多点ゲートやマルチキャビティ金型)において、各キャビティに溶融樹脂が「同時に、均等な量で充填される状態」を指します。
このバランスが崩れると、ショートショット・バリ・寸法ばらつきなどの不良が発生します。
ゲートバランスの目的
| 目的 | 説明 |
|---|---|
| ✅ 各キャビティへの充填タイミングの均一化 | 全ての製品が同時に樹脂で満たされる |
| ✅ 各製品の寸法・重量・外観の安定化 | バランスが悪いと、ショートやヒケ、バリの原因に |
| ✅ 不良率の低減 | 生産効率と歩留まりを改善 |
なぜゲートバランスが必要なの?
多点ゲート金型(2個取り、4個取り、8個取りなど)では、
-
各キャビティに同じ量の樹脂を、同じ速度・圧力で流し込む必要があります。
-
そのためには、ランナー長さ・断面積・ゲート形状・金型温度などをバランスよく設計しなければなりません。
ゲートバランスが崩れると?
| 症状 | 原因 | 結果 |
|---|---|---|
| 片側ショートショット | 遠いキャビティへの充填が遅れる | 充填不足やヒケが発生 |
| 片側バリ | 近いキャビティが先に充填完了 | 過充填で金型合わせ部から樹脂が漏れる |
| 重量ばらつき | 充填圧・速度が不均等 | 製品の機能不良・品質不良に |
ゲートバランスの改善手法
① ランナーのバランス調整
-
全てのキャビティに同じ長さ・体積のランナーを設計(「ランナーバランス」とも呼ぶ)
-
フローバランス解析(CAE)で流動挙動を予測・調整
② ゲートサイズ調整
-
遠いキャビティのゲートをやや大きくして流れやすくする
-
逆に近いキャビティのゲートを絞ってバランスをとる
③ 温度制御の工夫
-
キャビティ周辺の金型温度差を調整し、流動抵抗を制御
-
遠い側を高温にして流れやすく、近い側を冷やして流れにくくする
④ ホットランナー/バルブゲートの採用
-
ゲート開閉のタイミングを制御して、完全な同時充填を実現
-
電動/油圧でピンを制御でき、超高精度製品で使われる
もし下図のように、ランナー長が異なると…
ゲート1 → 最短 → 充填早い → バリ
ゲート4 → 最長 → 充填遅い → ショート
→ ランナーを等長に設計する or ゲート径で調整する
ゲートバランスのまとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 意味 | 複数のキャビティに均等に樹脂を流す設計・調整技術 |
| 重要性 | バリ、ショート、寸法ズレなどを防ぐ |
| 調整方法 | ランナー形状・ゲートサイズ・温度管理・CAE解析など |
| 評価方法 | ショートショット法、重量測定、CAE流動解析など |


コメント