金型温度調節機(温調機)とは?
金型温度調節機(おんちょうき)は、金型の温度を一定に保つための装置で、冷却・加熱を行いながら、金型に循環させる媒体(温調媒体)を管理します。
構成要素
主な構成:
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ヒーター:加熱用(電気式)
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ポンプ:媒体を循環させる
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冷却回路(熱交換器):冷却水などで温度を下げる
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制御パネル:温度設定、警報、タイマーなど
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媒体タンク:水またはオイルを貯める
仕組み(基本動作)
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設定温度を入力
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ヒーターや冷却回路で媒体(熱媒)を加熱または冷却
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加熱・冷却された媒体をポンプで金型内の配管に循環
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金型の温度を一定にキープ
使用する媒体の種類
媒体 | 特徴 | 使用温度範囲 |
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水(水温調機) | コスト安・扱いやすい | ~120°C程度まで |
油(オイル温調機) | 高温対応可能 | ~200〜300°Cまで(樹脂による) |
用途と使い分け
用途 | 適した温調機 |
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一般成形(ABS, PPなど) | 水温調機(40〜80°C程度) |
結晶性樹脂やエンジニアリングプラスチック(PBT, LCPなど) | オイル温調機(120°C以上) |
高精度部品 | 高温・高精度な温調が可能な機種 |
温調機を使うメリット
メリット | 説明 |
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成形品の安定性 | 寸法・外観・反りが安定する |
サイクル短縮 | 冷却時間の最適化が可能 |
歩留まり向上 | ウェルドやフローマーク等の不良低減 |
品質トレーサビリティ | 設定温度や履歴の管理がしやすい |
注意点・トラブル例
トラブル | 原因・対策 |
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温度が上がらない | ヒーター断線、センサー不良、配管詰まり |
流量が弱い | ポンプの故障、エア噛み、スケールの蓄積 |
漏れ・腐食 | 冷却水の水質不良、メンテ不足 |
運用のポイント
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使用前の予熱運転が重要(均一な加熱)
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定期的な配管洗浄でスケール除去
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冷却水にはスケール防止剤の添加推奨
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異常時は温調機からのアラーム信号で成形機と連動停止も可能
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