オープンループ制御とは?
出力(結果)をフィードバックせずに、入力だけで制御を行う方式です。
つまり、「指令を出したら、それで終わり」という制御方法です。
結果が予定通りかどうかを確認せずに、あらかじめ決められた動作をそのまま実行します。
対になる言葉:「クローズドループ制御」
項目 | オープンループ制御 | クローズドループ制御(フィードバック制御) |
---|---|---|
特徴 | 出力を監視しない | 出力をセンサーなどで監視・調整する |
精度 | 外乱に弱く、誤差が出やすい | 精度が高く、外乱にも対応できる |
コスト | 安い | センサーなどが必要なため高くなることも |
例 | 洗濯機、タイマー、照明制御など | サーボモーター、温度制御、ドローンなど |
オープンループ制御の仕組み(図解イメージ)
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コントローラが「○秒間回す」などの命令を出す
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実際にどれだけ動いたかは確認しない
具体例
例 | 説明 |
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電子レンジ | 設定した時間だけ加熱する(実際の温度や仕上がりは測らない) |
信号機 | 時間で変わるだけで、交通量に応じて制御はしない |
モーターのタイマー制御 | 一定時間モーターを回すが、実際の回転量は見ていない |
メリット・デメリット
メリット(利点)
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制御がシンプル
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機器構成が安価で済む
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応答が速い(フィードバック処理が不要)
デメリット(欠点)
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外乱(温度・負荷変動など)に弱い
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誤差が出やすい
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正確な制御が必要な場合には不向き
いつ使う?
以下のような場合にオープンループ制御が使われます:
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コストを抑えたい
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そこまでの精度は不要
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動作結果を確認する必要がない or わかりきっている
まとめ
項目 | 内容 |
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名称 | オープンループ制御(開ループ制御) |
特徴 | フィードバックなしで制御する方式 |
例 | 電子レンジ、洗濯機の一部、モーターの単純運転など |
メリット | 構成が単純、コストが安い |
デメリット | 誤差に弱く、精密な制御には不向き |
射出成形機におけるオープンループ制御とは?
成形条件(圧力・速度・温度・位置など)を事前に設定し、それに従って機械を動かすだけの制御方式です。
センサーで実際の成形状態を監視・補正せずに動かします。
クローズドループ制御との比較(射出成形の場合)
制御方式 | 特徴 | 使用される例 |
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オープンループ制御 | 設定値通りに動作させるだけ。フィードバックしない。 | 一般的な小型成形機や、旧型機 |
クローズドループ制御 | 実際の圧力・速度・位置などをセンサーで監視し、補正しながら動作 | 高精度な製品、成形条件が厳しい部品(医療・光学・自動車部品) |
オープンループ制御が使われる代表的な例(射出成形機)
① 射出速度のオープンループ制御
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「射出スクリュを2秒間で一定速度で前進させる」といった動き
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実際のスクリュ先端の圧力や樹脂の粘度変化は考慮しない
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樹脂が変わっても同じ速度で射出するので、製品ばらつきが出やすい
② 金型温度のオープンループ制御
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ヒーターに電力を一定量流して温めるが、金型温度そのものは測らない
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クローズドループ制御では「金型温度センサー」で温度を監視して補正するが、オープンループではなし
③ エジェクタ動作のオープンループ制御
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タイマー制御で「○秒間突き出して、○秒後に戻す」といった単純動作
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成形品の脱型状況(残り・引っかかり)は見ていない
オープンループ制御のメリット(射出成形機において)
項目 | 内容 |
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安価 | センサーや制御装置が少なくて済む |
シンプル | 設定が簡単。動作のトラブルも少ない |
保守性が高い | 故障原因が単純なので対応しやすい |
デメリット
問題点 | 説明 |
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精度が低い | 樹脂の状態変化(温度・粘度・材料ロットなど)に対応できない |
品質ばらつき | 特に微細部品や高精度品では問題になることが多い |
外乱に弱い | 成形環境が変わると、不良が出やすい(夏と冬で条件がズレるなど) |
最近の傾向
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旧型機や安価な汎用機では、今でもオープンループ制御が多く採用されています。
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高精度成形・品質安定が必要な分野では、クローズドループ制御(圧力センサー、位置センサー、温度センサーなどを使用)が主流。
まとめ:射出成形機でのオープンループ制御
項目 | 内容 |
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特徴 | フィードバックなしで、設定値通りに動作する制御 |
使用例 | 射出速度、ヒーター加熱、エジェクタ動作など |
メリット | 構成が簡単、安価、トラブルが少ない |
デメリット | 精度に限界あり、品質ばらつきのリスク |
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