製品表面に現れるV字状の線(へこみや光の反射ライン)を指します。
これは、主に樹脂の流動や金型の構造が原因で生じる外観上の線状欠陥や、
意図的に設けられたデザインラインのことを指す場合があります。
Vラインが現れる主な原因(不良としてのVライン)
① 樹脂の流れの合流跡(ウェルドライン)
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2方向から流れた樹脂が合流した部分にできるV字状の線。
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光の反射で「V」や「線」のように見えることが多い。
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特に透明樹脂や外観部品で目立ちます。
🔹原因例:
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流動末端で温度が低下して樹脂が十分に融着しない
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金型温度が低い
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ゲート位置や流動方向が不適切
🔹対策:
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金型温度を上げる
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ゲート位置を変更する
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射出速度や圧力を調整して流動性を高める
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ウェルドラインが目立たない位置に移す
② 金型の合わせ面(パーティングライン)の段差
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金型の固定側と可動側の合わせ面にわずかなズレがあると、
成形品に**V字状の段差や線(バリ・へこみ)**が出ます。 -
これを現場で「Vライン」と呼ぶこともあります。
🔹原因例:
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金型合わせ精度の不良
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型締め力不足
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金型ガイドや位置決めピンの摩耗
🔹対策:
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金型の合わせ面を再調整
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ガイドピンの交換・修正
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型締め条件の見直し
③ 成形品のデザイン上のV形状
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製品デザインとしてV字リブやエッジを設けている場合、
そのラインを「Vライン」と呼ぶことがあります。 -
光の反射や影の関係で、外観上の目印になる部分です。
🔹注意点:
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成形時のヒケやバリが出やすい
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金型の加工精度・磨き仕上げが見た目に大きく影響する
まとめ
| 種類 | 内容 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|---|
| ウェルド由来Vライン | 樹脂流れの合流部にできる線 | 流動温度低下・融着不良 | 金型温度・射出条件の見直し |
| 金型合わせ由来Vライン | 金型の段差・バリ | 型ズレ・摩耗・型締不良 | 金型精度調整・メンテ |
| デザインVライン | 意図的なV形状 | デザイン仕様 | 金型磨き・外観検査強化 |
補足
現場では「Vラインが出た」という表現は、
「ウェルドラインがV字状に見える」ときや
「パーティングの段差がV字っぽく見える」ときによく使われます。
したがって、「Vライン=表面に現れるV字状の線」と覚えておくと理解しやすいです。


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