背圧

背圧(Back Pressure) とは、
射出成形機でスクリュが後退して樹脂を計量する際に、
スクリュの後退を油圧などで制限して加える圧力 のことです。

簡単に言えば、

樹脂をしっかり練り混ぜるために、スクリュの動きに「抵抗(圧力)」をかけること
です。

背圧の主な目的

  1. 樹脂の混練を良くする
    → 着色剤や添加剤が均一に分散され、色ムラが減る。

  2. 樹脂中のガスや空気を抜く
    → ボイド(空洞)や焼けを防ぐ。

  3. 計量の安定化
    → 樹脂の密度が均一になり、射出量のばらつきが減る。

  4. 樹脂温度の均一化
    → シリンダ内の温度ムラを防ぎ、流動性が安定する。

背圧を高くしすぎた場合の影響

  • 樹脂の温度上昇(せん断熱が増える)

  • 計量時間の延長

  • ガスや揮発分が多い樹脂では「焼け」や「銀条(シルバーストリーク)」発生

  • スクリュや機械への負荷が増える

背圧を低くしすぎた場合の影響

  • 樹脂の混練不足(色ムラ・ガス混入)

  • 計量量のばらつき

  • 成形品の重量・寸法が安定しない

一般的な背圧設定目安(参考)

樹脂種類 背圧の目安(MPa) 備考
汎用樹脂(PP、PEなど) 2〜5 通常設定
エンジニアリングプラスチック(ABS、PCなど) 5〜10 均一混練を重視
ガラス繊維入り樹脂 3〜8 繊維破断を防ぐため中程度
熱に弱い樹脂(PVCなど) 1〜3 過熱・分解防止のため低め

まとめ

  • 背圧 = 計量中にスクリュへ加える抵抗圧

  • 目的は「混練・脱気・密度安定」

  • 高すぎても低すぎても不良につながるため、樹脂と条件に合わせた調整が重要

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