立ち上がり時間

立ち上がり時間(rise time) とは、射出成形機において 可動プラテンやスクリュの動作が指令値に達するまでの時間 を指します。

成形機では射出や型締めの速度・圧力を制御しますが、指令値にすぐ達せず、加速して目標に到達するまでの時間 が発生します。これが立ち上がり時間です。


射出工程での立ち上がり時間

  • 射出圧力・射出速度の立ち上がり時間

    • 射出開始から目標圧力・速度に到達するまでの時間

  • 型締力立ち上がり時間

    • 型閉じ開始から目標型締力に達するまでの時間


立ち上がり時間が短い場合

  • 射出圧力や速度が早く目標に達する

  • 充填が速くなり、短サイクル化が可能

  • ただし急激な圧力変化により

    • 金型や成形品に応力集中

    • バリ、飛び出し、型破損のリスクがある


立ち上がり時間が長い場合

  • 圧力・速度がゆっくり立ち上がる

  • 応力やせん断が緩和されるため、気泡やそりが減少する

  • 充填不足や短ショット(ショートショット)のリスクが増える


管理のポイント

  • 樹脂の特性に合わせて調整

    • 高粘度樹脂は急激な立ち上がりで圧力が上がりやすい

    • 低粘度樹脂は立ち上がりが速い方が良い場合もある

  • 成形品の形状・肉厚に応じて調整

  • 射出圧力制御装置(サーボ制御)で精密に調整可能


まとめ

  • 立ち上がり時間 = 指令値に到達するまでの時間

  • 短いと充填は早くなるが応力が大きくなる

  • 長いと応力は抑えられるが充填不足のリスク

  • 樹脂特性・金型設計・成形品形状に応じて最適化が必要

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