立ち上がり時間(rise time) とは、射出成形機において 可動プラテンやスクリュの動作が指令値に達するまでの時間 を指します。
成形機では射出や型締めの速度・圧力を制御しますが、指令値にすぐ達せず、加速して目標に到達するまでの時間 が発生します。これが立ち上がり時間です。
射出工程での立ち上がり時間
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射出圧力・射出速度の立ち上がり時間
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射出開始から目標圧力・速度に到達するまでの時間
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型締力立ち上がり時間
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型閉じ開始から目標型締力に達するまでの時間
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立ち上がり時間が短い場合
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射出圧力や速度が早く目標に達する
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充填が速くなり、短サイクル化が可能
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ただし急激な圧力変化により
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金型や成形品に応力集中
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バリ、飛び出し、型破損のリスクがある
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立ち上がり時間が長い場合
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圧力・速度がゆっくり立ち上がる
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応力やせん断が緩和されるため、気泡やそりが減少する
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充填不足や短ショット(ショートショット)のリスクが増える
管理のポイント
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樹脂の特性に合わせて調整
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高粘度樹脂は急激な立ち上がりで圧力が上がりやすい
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低粘度樹脂は立ち上がりが速い方が良い場合もある
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成形品の形状・肉厚に応じて調整
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射出圧力制御装置(サーボ制御)で精密に調整可能
まとめ
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立ち上がり時間 = 指令値に到達するまでの時間
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短いと充填は早くなるが応力が大きくなる
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長いと応力は抑えられるが充填不足のリスク
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樹脂特性・金型設計・成形品形状に応じて最適化が必要
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