滞留時間(residence time) とは、
射出成形機や押出機などの 可塑化シリンダ内に樹脂が留まっている時間 を指します。
シリンダに投入された樹脂が、加熱・可塑化・射出を経て成形品になるまでにかかる時間であり、
材料の熱履歴や成形品質に大きく影響します。
滞留時間が長すぎる場合の問題
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熱劣化・分解
→ 特に熱に弱い樹脂(PVC, POM, PET など)で分解ガス・変色が発生 -
ガス発生・気泡・銀条(シルバーストリーク) の原因
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物性低下
→ 分子量低下により機械特性が劣化
滞留時間が短すぎる場合の問題
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樹脂が十分に溶融・混練されず、未溶融粒子 が残る
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充填不足・表面不良 が起こる
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添加剤が均一に分散しない
適正な滞留時間
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樹脂ごとに「許容滞留時間」が決まっている(例:メーカーのデータシートに記載)
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一般的には 5〜10分程度 が目安(ただし材料によって異なる)
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熱に弱い樹脂は 3分以内 を推奨される場合もある
滞留時間の計算方法(例)
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シリンダ内容積(V) を求める
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(スクリュ径・長さから算出)
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1ショットあたりの射出量(Q) を測定
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成形サイクル時間(t) を測定
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滞留時間(T) を計算
T=VQ×t
管理のポイント
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適正なシリンダサイズの成形機を選定する(大きすぎると滞留時間が長くなる)
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休止時は温度を下げる or パージする
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材料に応じた温度設定で過剰加熱を避ける
まとめ
滞留時間とは、
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シリンダ内に樹脂が留まる時間のこと
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長すぎれば 熱劣化・ガス発生、短すぎれば 未溶融・混練不良
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樹脂ごとに最適値があり、成形機サイズや条件設定で管理することが重要
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