耐燃性(flame resistance, fire resistance) とは、プラスチックなどの材料が 火炎や高温にさらされたときに燃えにくい性質 を指します。
プラスチックは一般的に可燃性を持つため、燃焼時の安全性を確保するために「燃えにくさ」を評価・改良することが重要です。
関連する用語
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自己消火性(self-extinguishing)
→ 火源を取り去ると自ら燃焼が止まる性質 -
難燃性(flame retardancy)
→ 燃え広がりにくい、燃焼速度が遅い性質 -
耐燃性
→ 火にさらされても燃えにくい、燃焼を抑制する総合的な性能
評価規格
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UL94規格(米国UL規格)
最も広く使われる燃焼試験。燃え方に応じて次のように分類される:-
HB:水平方向燃焼で一定速度以下
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V-2, V-1, V-0:垂直燃焼試験で自己消火までの時間とドリップ挙動で区分
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5VA, 5VB:さらに厳しい条件での耐燃性評価
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酸素指数(LOI, Limiting Oxygen Index, JIS K 7201)
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燃焼を維持するために必要な酸素濃度を測定
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数値が高いほど燃えにくい
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耐燃性を高める方法
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難燃剤の添加
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ハロゲン系(臭素系など) → 高い難燃性だが環境規制あり
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ハロゲンフリー(リン系、窒素系) → 電子機器向けで使用増加
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無機フィラー添加
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水酸化アルミニウム、三酸化アンチモンなどで燃焼抑制
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構造設計
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厚みを増す、空気の流入を防ぐなどで燃焼リスク低
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耐燃性に優れる代表的な樹脂
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ポリイミド(PI):自己消火性が高く、航空宇宙分野で利用
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PBT、PET、PC などの難燃グレード
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フッ素樹脂(PTFE, FEP):極めて燃えにくい
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フェノール樹脂:炭化層を形成して燃焼を抑制
主な用途
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電気・電子部品(コネクタ、ハウジング、プリント基板)
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自動車部品(室内装飾材、配線被覆)
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航空機・鉄道の内装材(火災安全基準を満たす必要あり)
まとめ
耐燃性とは、
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火炎にさらされても燃えにくく、燃焼を抑える性質
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UL94や酸素指数で評価
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難燃剤やフィラー、材料選定で性能向上可能
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電気・電子・輸送機器の安全性に不可欠
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