耐熱性(heat resistance) とは、プラスチックや材料が 高温環境にさらされたときに、機械的特性・電気特性・外観を保持できる性質 を指します。
プラスチックは金属に比べて熱に弱く、一定温度を超えると 変形・軟化・分解 が起こるため、耐熱性は重要な評価項目です。
耐熱性を表す指標
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連続使用温度
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長期間使用しても性能が低下しない温度(UL規格などで定義)
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ガラス転移温度(Tg)
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アモルファス樹脂で分子の動きが活発になり、急に柔らかくなる温度
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融点(Tm)
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結晶性樹脂が溶融する温度
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荷重たわみ温度(HDT, Heat Deflection Temperature)
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荷重をかけた試験片が一定たわみを示す温度
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実用上の耐熱性を比較するのに用いられる
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耐熱性の高いプラスチック
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スーパーエンジニアリングプラスチック
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PEEK(約250℃)、PPS(約200℃)、PI(ポリイミド, 300℃以上)、PEI
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エンジニアリングプラスチック
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PA(ナイロン)、PBT、PET、PC(ポリカーボネート)など
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汎用樹脂
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ABS、PS、PE、PP は比較的耐熱性が低い(60〜100℃程度)
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耐熱性を高める方法
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ガラス繊維や無機フィラーで補強 → 剛性を上げHDTを改善
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アロイ化・ブレンド → 特性を組み合わせて性能向上
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表面処理・コーティング → 熱の影響を遮断
主な用途
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自動車部品(エンジン周辺、電装部品)
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電気・電子部品(コネクタ、ソケット、絶縁材)
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航空・宇宙産業(高温環境で使用される部材)
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医療機器(滅菌処理に耐える樹脂)
まとめ
耐熱性とは、
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高温での性能維持能力
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指標として「連続使用温度」「HDT」「Tg」「Tm」がある
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スーパーエンプラが特に優れており、自動車・電子・航空分野で活躍
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