耐熱性

耐熱性(heat resistance) とは、プラスチックや材料が 高温環境にさらされたときに、機械的特性・電気特性・外観を保持できる性質 を指します。

プラスチックは金属に比べて熱に弱く、一定温度を超えると 変形・軟化・分解 が起こるため、耐熱性は重要な評価項目です。

耐熱性を表す指標

  1. 連続使用温度

    • 長期間使用しても性能が低下しない温度(UL規格などで定義)

  2. ガラス転移温度(Tg)

    • アモルファス樹脂で分子の動きが活発になり、急に柔らかくなる温度

  3. 融点(Tm)

    • 結晶性樹脂が溶融する温度

  4. 荷重たわみ温度(HDT, Heat Deflection Temperature)

    • 荷重をかけた試験片が一定たわみを示す温度

    • 実用上の耐熱性を比較するのに用いられる

耐熱性の高いプラスチック

  • スーパーエンジニアリングプラスチック

    • PEEK(約250℃)、PPS(約200℃)、PI(ポリイミド, 300℃以上)、PEI

  • エンジニアリングプラスチック

    • PA(ナイロン)、PBT、PET、PC(ポリカーボネート)など

  • 汎用樹脂

    • ABS、PS、PE、PP は比較的耐熱性が低い(60〜100℃程度)

耐熱性を高める方法

  • ガラス繊維や無機フィラーで補強 → 剛性を上げHDTを改善

  • アロイ化・ブレンド → 特性を組み合わせて性能向上

  • 表面処理・コーティング → 熱の影響を遮断

主な用途

  • 自動車部品(エンジン周辺、電装部品)

  • 電気・電子部品(コネクタ、ソケット、絶縁材)

  • 航空・宇宙産業(高温環境で使用される部材)

  • 医療機器(滅菌処理に耐える樹脂)

まとめ

耐熱性とは、

  • 高温での性能維持能力

  • 指標として「連続使用温度」「HDT」「Tg」「Tm」がある

  • スーパーエンプラが特に優れており、自動車・電子・航空分野で活躍

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