生分解性プラスチック(Biodegradable Plastics)とは、
使用後に土壌中や水中の微生物によって分解され、最終的に二酸化炭素や水などの自然界に存在する物質にまで分解されるプラスチックのことです。
環境中に残りにくく、廃棄物問題や海洋プラスチック問題の解決に貢献できる素材として注目されています。
特徴
-
環境中で分解可能(条件次第:土壌、堆肥化、海水など)
-
一般的な石油系プラスチックよりも分子構造が分解されやすい
-
一部は再生可能資源(トウモロコシ、サトウキビなど)由来で製造される
主な種類
1. 天然由来系
-
PLA(ポリ乳酸)
-
トウモロコシやサトウキビ由来の乳酸を重合
-
強度があり透明性も高いが、耐熱性がやや低い
-
-
PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)
-
微生物が体内で生成するポリエステル
-
海水中でも分解されやすい
-
2. 石油由来系(生分解性合成樹脂)
-
PBS(ポリブチレンサクシネート)
-
柔軟性が高く、フィルムや包装材に利用
-
-
PCL(ポリカプロラクトン)
-
低融点で、分解速度が比較的速い
-
メリット
-
環境負荷の低減(廃棄後に自然分解)
-
堆肥化処理と組み合わせれば資源循環が可能
-
海洋汚染対策への期待
デメリット
-
一般プラスチックに比べコストが高い
-
耐熱性や耐久性が劣る場合が多い
-
分解には一定の条件(温度・湿度・微生物)が必要で、常温環境では分解が遅いこともある
主な用途
-
食品容器・包装フィルム
-
農業用マルチフィルム(分解して土に還る)
-
使い捨てカトラリー(フォーク、スプーン、ストロー)
-
医療用(体内で分解吸収される縫合糸やデバイス)
まとめ
生分解性プラスチックとは、
-
微生物の働きで分解されるプラスチック
-
PLA・PHA・PBS などが代表的
-
環境負荷低減に有効だが、コスト・性能面で課題もある
コメント