充填率(filling ratio)は、金型キャビティの容積に対して、実際に溶融樹脂がどれだけ満たされたかを割合で示す指標です。
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100% = キャビティが完全に充填された状態
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それ未満 = 充填不足(ショートショットなど)
一般的に「〇〇%充填」と表現されます。
充填率の使われ方
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成形条件の調整
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成形試作時に「何%充填で切り替えるか(保圧へ移行するか)」を基準にする。
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例:充填率95〜98%で射出→残りを保圧で充填。
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解析(CAE)での評価
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Moldflow などの流動解析ソフトでは、充填率を時間経過で表示して充填過程を可視化。
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「どの時点で充填が止まるか」「エアトラップが残るか」などを判断。
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成形機での管理
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実際の機械では「充填率=射出容量に対する使用量」として使うこともある。
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例:成形機の射出容量200 cm³に対し、1ショットの製品+ランナーが100 cm³ → 充填率50%
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充填率の目安
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製品+ランナー重量 ≒ 射出容量の30〜80%
→ 適正範囲(成形安定性が高い) -
低すぎる(20%以下)
→ シリンダ内滞留時間が長くなり、樹脂の劣化リスク -
高すぎる(90%以上)
→ 成形機の限界近くで成形するため安定性が悪化、ショートショットの危険
まとめ
充填率とは
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「キャビティの満たされ具合」
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または 「射出容量に対する使用量の割合」
を表す指標です。
成形条件の管理や、成形機の選定・安定成形の確認に役立ちます。
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