射出圧力とは、射出成形機のスクリューが前進して溶融樹脂を金型キャビティへ充填する際に、樹脂へ加えられる圧力のことです。
一般的には「射出圧力(injection pressure)」と呼ばれ、射出速度を確保するための駆動力として働きます。
役割
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樹脂の充填
金型の細かい部分や薄肉部にまで樹脂を行き渡らせる。 -
転写性の確保
表面の微細な形状(シボ、文字、光学パターンなど)を再現する。 -
射出速度制御の裏付け
スクリューを一定速度で前進させるために必要な圧力。
測定される2つの圧力
射出成形では、射出圧力に関連して2つの圧力が扱われます。
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シリンダ内圧(油圧ベース)
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成形機が表示する「射出圧力」は、油圧やサーボモータの駆動力を樹脂圧に換算したもの。
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機械によって「油圧系圧力」と「樹脂圧力」のどちらを表示しているかは異なる。
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キャビティ内圧(樹脂圧)
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実際に金型の中に充填された樹脂が受ける圧力。
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金型にセンサーを取り付けて計測する。
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成形品の品質(寸法安定性、ひけ、バリ)に直結する。
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射出圧力と成形条件
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高すぎる場合
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バリ発生
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金型・機械への負担増大
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樹脂の分解(せん断熱)
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低すぎる場合
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充填不足(ショートショット)
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転写不良
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ウェルドラインの強度低下
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関連する条件
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射出速度:スクリューの前進速度。射出圧力はこの速度を維持するための結果。
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保圧(パッキング圧力):充填後に樹脂が冷える際の収縮を補うために加える圧力。
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切替位置:射出から保圧へ切り替えるタイミング。ここを誤るとショートやバリが起きやすい。
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