計量とは?
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成形サイクルの「射出後、保圧・冷却中に行う工程」
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スクリューを回転させながら後退させることで、樹脂を前方に送り出し、決められたストローク量(=必要量)を貯める操作
計量工程のしくみ
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スクリュー回転開始
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ホッパーから供給されたペレット樹脂をスクリューが回転しながら溶融
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樹脂を前方に圧送
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スクリューのフライトが溶融樹脂を先端へ送る
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スクリューが後退
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ノズル側に溶融樹脂が貯まるとスクリューが後ろに下がる(後退量=計量完了の目印)
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必要量に達したら停止
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指定ストローク位置 or 材料体積でスクリューの回転を停止
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計量の管理項目
項目 | 内容 | 単位 |
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計量量 | 次ショットに必要な樹脂量(スクリュー後退量) | mmまたはcm³ |
計量時間 | スクリューが回転して後退するまでの時間 | 秒 |
バックプレッシャー(背圧) | 溶融樹脂にかける抵抗圧 | MPa、kgf/cm² |
スクリュー回転速度 | 材料の溶融速度に影響 | rpm(回転/分) |
計量に影響する主な要素
要素 | 説明 |
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材料の種類 | 溶融温度・粘度が異なり、加熱時間や圧送力が変わる |
温度設定 | シリンダー温度が低すぎると計量遅延、高すぎると劣化 |
スクリュー設計 | 形状や混練部の長さによって計量効率が変わる |
バックプレッシャー | 高すぎると機械負荷増・炭化、低すぎると気泡混入 |
計量の目的と役割
目的 | 内容 |
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✅ 安定したショット量確保 | 毎回同じ体積の溶融樹脂を用意するため |
✅ 材料の混練・脱気 | 均一に混ぜて空気やガスを押し出す |
✅ 樹脂の温度安定 | 回転による摩擦熱で溶融を補助 |
✅ 圧縮制御(バラつき防止) | 背圧で密度と粘度を均一化する |
計量トラブルとその原因
トラブル | 原因 |
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計量が遅い / 完了しない | 材料の溶融不足、スクリュー摩耗、温度低下 |
計量量のバラつき | 材料供給不良、逆流防止機構の不良、吸水材 |
ショートショット | 計量量不足、逆流、保圧不足 |
シルバー(気泡) | 計量時の脱気不良 or 空気巻き込み |
補足:バックプレッシャーとは?
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計量時にスクリューの後退を油圧で制限し、内部の樹脂を圧縮する圧力
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これにより:
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溶融密度UP(空気抜け)
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材料混練UP(色ムラ・フィラー分散改善)
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ただし高すぎると、材料の分解や機械負担増加の原因になる
計量のまとめ
観点 | ポイント |
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意味 | 射出のための樹脂をスクリュー前方に準備する工程 |
時間 | 成形サイクル中に保圧・冷却と同時に行う |
重要管理 | 計量量、時間、回転速度、背圧、温度 |
安定成形には | 各条件を「材料と金型」に合わせて最適化することが重要 |
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