センサーなどで実際の状態をリアルタイムに計測し、その値をもとに射出成形機の動作を自動的に調整する制御方式を指します。これにより、高精度・高再現性の安定した成形が可能になります。
クローズド制御とは?
✅ 定義
センサーからの実測データ(フィードバック)を元に、制御機器(サーボモータや油圧バルブなど)が自動的に出力を調整する方式。
これに対して、オープンループ制御(Open-loop)は指令値だけで動作し、実際の結果を反映しません。
射出成形での具体的な制御対象
制御対象 | 説明 | よく使われるセンサー |
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射出速度 | 射出中のスクリュー速度制御 | エンコーダ(回転・位置) |
保圧圧力 | 保圧中の圧力を一定に保つ | 油圧センサー |
キャビ内圧 | 金型内の実圧を検出し調整 | キャビティ圧力センサー |
スクリュー位置 | 計量・射出位置の微調整 | ストロークセンサー |
金型温度制御 | 温度のばらつきによる寸法誤差対策 | 熱電対など |
クローズド制御のメリット
項目 | 内容 |
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✅ 精度向上 | 射出・保圧のバラつきが激減 |
✅ 不良削減 | ショートショット、ヒケ、バリなどを安定化 |
✅ 材料ロス削減 | 安定射出により歩留まり向上 |
✅ 自動補正可能 | 環境変動や材料ロット違いにも対応しやすい |
注意点・導入時の課題
問題点 | 対応策 |
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センサー故障・ずれ | 定期点検・キャリブレーションが重要 |
制御遅れ | ハード・制御系の高速応答化が必要 |
過度な補正 | 過補正でかえって不安定になることも → フィルター設計が重要 |
クローズド制御が活躍する具体例
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キャビティ内圧センサーを用いた保圧切換の最適化
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→ 充填完了タイミングを圧力波形で自動検出し、切換点を調整
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スクリュー位置に基づく射出速度補正
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→ スクリューの加速・減速を微細に制御して充填ムラを抑制
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重量制御(射出体積一定化)
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→ 製品の重量を間接的に一定化
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クローズド制御とオープン制御の違い(比較表)
項目 | クローズド制御 | オープン制御 |
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フィードバック | あり(センサー) | なし(指令だけ) |
精度・再現性 | 高い | 中〜低 |
不具合補正能力 | 自動補正できる | 人手で対応必要 |
装置コスト | 高め | 安価で簡易 |
用途 | 高精度・高品位品 | 大量生産・コスト重視品など |
まとめ
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クローズド制御は「センサー+自動補正制御」による高精度な成形制御技術
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特に複雑な製品・厳しい寸法公差・微細部品などに有効
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金型内圧やスクリュー位置、保圧など、複数の制御点を連携させる高度制御も可能
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