インラインスクリュ式(inline screw type)射出成形機は、現在もっとも一般的に使われている射出成形機の構造の一つで、可塑化(プラスチックを溶かす)と射出(型に押し込む)を同じスクリュ(ねじ)で行う方式です。
🧩 基本構造と動作の流れ
インラインスクリュ式射出成形機の主な構成と、成形の流れを説明します。
🔩 主な構成
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ホッパー:原料(ペレット)を供給する部分
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スクリュ(スクリュー):円筒内で原料を溶かし、前方へ送り出すねじ状の部品
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シリンダー(バレル):スクリュが入っている筒
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ヒーター:バレルを加熱し、樹脂を溶かす
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ノズル:金型へ樹脂を押し出す出口
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金型(モールド):溶けた樹脂を流し込む型
🔁 成形の工程(一般的なサイクル)
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可塑化(溶かす)
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スクリュが回転し、ホッパーから供給された樹脂を前方に押し出しながら加熱。
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樹脂は摩擦熱とヒーターで溶けて、スクリュの先にたまる。
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射出(押し出す)
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スクリュが前進して、溶けた樹脂を金型に一気に押し込む。
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冷却・固化
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金型の中で樹脂が冷えて固まり、成形品ができる。
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型開き・取り出し
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金型が開いて、成形品が取り出される(ロボットやエジェクタなどで)
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スクリュ戻し(計量)
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スクリュが元の位置に戻りながら、次の材料を計量・溶融する。
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🆚 他の方式との比較(参考)
方式 | 特徴 |
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インラインスクリュ式 | 1本のスクリュで可塑化・射出を行う。シンプルで多くの機種に使われる。 |
プリプラ式(二段式) | 可塑化と射出を別々のスクリュ・ピストンで行う。精密成形や連続成形に有利。 |
🏭 メリット
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構造がシンプルでコンパクト
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メンテナンスが比較的容易
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一般的な成形品(容器、家電部品、自動車部品など)に広く対応可能
⚠️ 注意点・課題
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スクリュ1本で溶解と射出を両立するため、高速・高精度な成形には限界がある
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射出圧力やスピードがプリプラ式より若干劣る場合がある
💬 まとめ
項目 | 内容 |
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名称 | インラインスクリュ式射出成形機 |
特徴 | 1本のスクリュで溶融と射出を行う |
用途 | 汎用プラスチック製品の大量成形 |
メリット | シンプル、高コストパフォーマンス |
使用分野 | 自動車部品、家電、日用品、容器など |
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