射出成形時に樹脂が波打つように前進する流れ方を指します。
名前の通り「アコーディオン」を伸ばしたり縮めたりしたような、層が折り重なるような流動パターンになることからこの名が付いています。
どんなときに起こる?
アコーディオン流動が発生するのは、主に以下の条件が重なったときです。
1. 部品が薄肉で、幅が広い(板状成形品)
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薄板を充填する時、樹脂表面がすぐに冷えて固まりやすい
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中央部だけが押し出されるように進む
2. ゲートが小さく、射出速度が遅い
前進しながら固化 → 再び内部の暖かい樹脂が押し出される → 波状の進み方が起こる。
3. 樹脂の粘度が高い or 流動性が悪い
PC・PPSなどで起こりやすいが、実際にはほとんどの樹脂で条件がそろうと出る。
アコーディオン流動が与える悪影響
1. ウェルドラインが増える / 強度が低下
層が折り重なって接合するため、
内部に弱い境界(弱層)が残りやすい。
2. 外観にムラが出る
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ツヤムラ
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流れ模様
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白化
などの外観不良につながる。
3. ボイド/ショートの原因になる
層が均一に流れないため、
端部まで樹脂が届かずショートが発生しやすい。
なぜアコーディオンのようになるのか(メカニズム)
樹脂先端部は金型に触れてすぐ固化層ができる。
固化層が前へ進む途中で、
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内部のまだ流動している高温樹脂が固化層を押す
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固化層がめくれて新しい層が前に出る
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また固化して層になる
➡︎ これを繰り返すため、波状(アコーディオン状)構造になる
対策(効果が高い順)
① 射出速度を上げる(最重要)
→ 先端の固化を防ぎ、層構造の発生を抑える
② 金型温度を上げる
→ 固化層ができにくくなる
特に薄肉成形で効果がある
③ ゲートを太くする / 場所を見直す
→ より高温・高圧で流せるので、波状流動の発生を抑える
④ 樹脂温度を上げる
→ 流動性アップで層ができにくい
ただし熱劣化に注意
⑤ 流動距離を短くする(金型設計)
ゲートを複数にしたり位置を変えると効果が大きい
⑥ 樹脂を変更
必要であれば
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流動性の高いグレード
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潤滑添加剤入
などの使用も検討
まとめ
アコーディオン流動とは、
薄肉で広い形状などで樹脂が層状に重なって流れる現象。


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