冷却時間

冷却時間(Cooling Time) とは、
射出成形サイクルの中で、溶けた樹脂を金型内で固めるために必要な時間のことです。

射出 → 保圧 → 冷却 → 型開き → 取り出し
という成形サイクルのうち、最も長いのがこの冷却工程です。

冷却時間の目的

目的 内容
① 成形品を固化させる 金型から取り出しても形が崩れないようにする
② 寸法精度を安定させる 収縮を均一にして、変形を防ぐ
③ 表面品質を確保する ヒケ・反り・ヤケなどの不良を防止する

冷却時間の決まり方

冷却時間は、主に以下の要素で決まります👇

要素 影響
樹脂の種類 熱伝導率・比熱・結晶性などにより冷え方が異なる
成形品の肉厚 厚いほど冷却時間は長くなる(おおよそ厚みの2乗に比例)
金型温度 高いと冷却遅く、低いと速くなる
冷却水温・流量 効果的に冷やせるかどうかに直結
射出条件 保圧・樹脂温度が高いと冷却に時間がかかる

冷却時間の目安(一般樹脂)

樹脂種類 代表例 目安の冷却時間(mm厚あたり)
ABS 家電・内装部品 約 10〜15 秒/3mm
PP(ポリプロピレン) 容器・部品類 約 8〜12 秒/3mm
PC(ポリカーボネート) 光学部品など 約 15〜25 秒/3mm
PA(ナイロン) 機構部品 約 10〜20 秒/3mm
POM(ポリアセタール) ギヤなど 約 10〜15 秒/3mm
PS(ポリスチレン) 薄肉容器など 約 6〜10 秒/3mm

※ 実際は製品形状や金型温度条件によって変わります。

代表的な計算式(参考)

冷却時間 tₖ は、熱伝導を基にした近似式で求められます:

tk=h2π2αln⁡(Tm−TeTd−Te)

記号 意味
h 成形品の厚さ(mm)
α 樹脂の熱拡散率(mm²/s)
Tₘ 樹脂温度(℃)
Tₑ 金型温度(℃)
Tₐ 成形品取り出し温度(℃)

実務ではこの式を使うより、実際の試し成形で最適値を見つけるのが一般的です。

冷却時間に関するトラブルと対策

トラブル 原因 対策
ヒケ・反り 冷却ムラ・冷却不足 冷却管の配置見直し、冷却時間延長
離型不良 冷却不足 冷却時間を延ばす、金型温度を下げる
サイクル長すぎ 過剰冷却 冷却効率改善(冷却回路増設・温調機見直し)
収縮ムラ 偏った冷却 対称的な冷却レイアウトに変更

冷却効率を上げる工夫

方法 効果
冷却配管を製品形状に合わせて配置 均一な温度分布を作る
乱流冷却(流量アップ) 熱交換効率を高める
バッフル・スパイラル冷却の使用 深いコア部まで効率的に冷却
金型材料の工夫(ベリリウム銅など) 熱伝導性を上げ、冷却短縮
成形品取り出し温度の最適化 必要以上に冷やさない

まとめ

項目 内容
名称 冷却時間(Cooling Time)
役割 成形品を固化・寸法安定・不良防止
主な影響要素 樹脂種類・肉厚・金型温度・冷却水条件
厚みとの関係 厚さの2乗に比例して増加
注意点 冷却ムラ・過剰冷却・ヒケ対策
改善策 冷却管設計・流量アップ・金型材料見直し

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