ポリアミド(PA:Polyamide)は、
強度・耐摩耗性・耐熱性に優れたエンジニアリングプラスチックの一種です。
繊維では「ナイロン」として知られ、
樹脂としては「ナイロン6」「ナイロン66」などの名前で使われます。
名称と種類
ポリアミドには多くの種類がありますが、代表的なのは次の2つです👇
| 種類 | 通称 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| PA6(ナイロン6) | 単量体「カプロラクタム」から作られる。 | 成形しやすく、透明性がやや高い。吸水性がやや高い。 |
| PA66(ナイロン66) | ヘキサメチレンジアミン+アジピン酸から作られる。 | 剛性・耐熱性が高く、機械的強度が優秀。 |
その他にも、耐熱・耐油・吸湿対策された特殊グレードがあります:
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PA46(高耐熱)
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PA11・PA12(低吸水・柔軟性あり)
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PA6T・PA9T(スーパーエンプラ系)
主な特徴
ポリアミドは「タフで摩擦に強い」ことが特徴です。
そのため、金属代替として使われることも多いです。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 💪 高強度・高剛性 | 衝撃に強く、機械的強度に優れる。 |
| ⚙️ 耐摩耗性・自己潤滑性 | ギアや摺動部品に最適。 |
| 🌡️ 耐熱性 | PA66は約120℃、PA46では200℃以上まで使用可能。 |
| 💧 吸水性あり | 吸湿で寸法変化が起きやすい(要注意)。 |
| 🧴 耐薬品性 | 油・溶剤に強いが、酸には弱い。 |
| ⚡ 電気絶縁性 | 絶縁材料としても優秀。 |
| 🔥 燃えやすい(自己消火性あり) | UL94 V-2程度。難燃グレードもあり。 |
吸水性の影響
ポリアミドの大きな特徴のひとつが「吸水性」です。
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湿気を吸うと、柔らかく・弾性が増す。
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同時に、寸法が膨張し、強度が少し下がる。
👉 寸法精度が求められる部品(ギア・ハウジングなど)は、
成形後に乾燥状態と使用環境の寸法差を考慮する必要があります。
主な用途
ポリアミドは、強度と耐摩耗性のバランスが良いため、
機械・自動車・電気製品などで幅広く使用されます。
| 分野 | 使用例 |
|---|---|
| 🚗 自動車部品 | ギア、ベアリング、ペダル、燃料ライン、コネクター |
| ⚙️ 機械部品 | カム、プーリー、ローラー、ケーブルタイ |
| 🖨️ 家電・OA機器 | ファンブレード、ヒンジ、カバー |
| 🧴 日用品 | ファスナー、ブラシ、釣り糸、歯ブラシ毛など |
| ⚡ 電気電子部品 | コネクタ、リレーケース、インシュレータ |
成形上の注意点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 乾燥 | 必須。吸湿しやすいため、80℃〜90℃で4〜8時間乾燥。 |
| シリンダ温度 | PA6:約230〜260℃/PA66:約260〜290℃。 |
| 金型温度 | 70〜100℃程度(高めに設定で結晶性UP)。 |
| 滞留防止 | 高温で分解しやすい。長時間停止時はパージ必須。 |
| ガス対策 | 分解ガス(アミン臭)に注意。換気を良くする |
ポリアミドとポリアセタールの比較
| 性能項目 | ポリアミド(PA) | ポリアセタール(POM) |
|---|---|---|
| 構造 | 結晶性ポリマー | 結晶性ポリマー |
| 機械的強度 | ◎ 高い | ◎ 高い |
| 耐摩耗性 | ◎ | ◎ |
| 吸水性 | × 高い | ○ 低い |
| 寸法安定性 | △ | ◎ |
| 成形性 | ○ | ◎ |
| 耐熱性 | ◎(PA66以上) | ○(POMより高い) |
| 耐薬品性 | ○(油・溶剤OK) | ◎(酸以外OK) |
| 主な用途 | ギア・コネクタ・カバー | ギア・スライド部品・ローラー |
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | ポリアミド(PA)=ナイロン |
| 種類 | PA6、PA66、PA46、PA12など |
| 特徴 | 高強度・耐摩耗・耐熱・自己潤滑性 |
| 欠点 | 吸水性が高く、寸法変化しやすい |
| 用途 | 自動車・機械・電気電子・日用品 |
| 成形のポイント | 十分な乾燥・高温成形・滞留防止 |


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