アンダーカット

アンダーカットとは?

金型の開閉方向(抜き方向)に対して、樹脂が引っかかって抜けなくなる形状のこと。

簡単にいうと、

そのまま金型を開けても製品が “かかってしまって抜けない部分”

がある形状のことです。

アンダーカットの例

  • フック形状

  • 爪(つめ)構造

  • 逆段差

  • 側面の穴(横穴)

  • スナップフィットの爪

  • 裏側に回り込むリブ

  • 外周に向かって広がるテーパー逆勾配

「抜き方向に対して逆勾配(ネガティブドラフト)」 があるとアンダーカットになります。

なぜ問題になる?

金型は基本的に
可動側と固定側が上下または左右に離れるだけなので、
その方向に対して引っかかる形状があると

  • 製品が抜けない

  • 破損する

  • 金型が破損する

  • 寸法不良が出る

などの問題が出ます。

アンダーカットを成形する方法

アンダーカット形状も、金型側で工夫すれば成形できます。

① スライドコア(横抜き)

横方向からコアが動く。
→ 横穴、側面の爪などに使う。

② リフター

斜め方向に動く可動コア。
→ スナップフィット内部、逆段差などに対応。

③ コアピンの引き抜き機構

軸方向にピンを抜き、アンダーカットを解除。

④ 可動ブロック(アクチュエータ付き)

油圧・空圧・サーボで可動部を動かす複雑なタイプ。

⑤ 弾性変形を利用

PP、PE のような柔らかい樹脂では
製品側をたわませて抜くことが可能

⑥ 2色成形・インサート成形で回避

別部品で作って後付けする方法。

アンダーカット設計の注意点

  • 抜き勾配は必ず確保する(通常 1〜2°以上)

  • 柔らかい樹脂以外は絶対に逆勾配を作らない

  • スナップフィットは抜け方向に配慮

  • 金型コストが急激に上がる(可動部が増えるため)

  • 成形サイクルが長くなる(開閉動作が増える)

まとめ

  • アンダーカット=金型の抜き方向に対して“引っかかる形状”

  • 金型をそのまま開いても製品が取れない

  • スライド・リフター・可動コアなどで対処

  • 柔らかい樹脂なら変形抜きも可能

  • 設計段階で避けるのが最もコストが安い

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