アーム型成形材とは?
射出成形で樹脂が金型に充填される際、流動先端が“腕(アーム)”のように細長く伸びながら進む流動パターンを示す材料のことを指します。
つまり──
高流動で先端がスッと細く伸び、細いゲートや薄肉部にも流れ込むタイプの樹脂
これを アーム型(Arm-type) と呼びます。
対義語:
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面型(Plate-type):面で広がりながら圧力で押し込むタイプ
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柱型(Column-type):丸太のように太い先端で進むタイプ
※これらは流動の分類概念であり、メーカーごとに呼び方が異なる場合があります。
アーム型成形材の特徴
◎ 1. 流動先端が細く伸びる
樹脂の粘度が低く、先端温度が落ちにくい → スムーズに前進します。
◎ 2. 薄肉部の充填に強い
フィン・リブ・薄板などへの流れ込みが良く、不足充填が起きにくい。
◎ 3. 流動距離が長い
細い道でも遠くまで届くため、大型製品や細長い成形品に有利。
◎ 4. 金型内の圧力損失に影響されにくい
アーム型は樹脂自体の粘度が低いため、スムーズに圧力を伝えられる。
アーム型になりやすい材料(代表例)
一般的には以下のような低粘度・高流動グレードが該当します。
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PP(特にホモ PP 高流動)
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ABS(高流動品)
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PS(GPPS)
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PC/ABS(薄肉向け)
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PA6(低粘度)
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PBT(薄肉用グレード)
一方で粘度が高く、流動が“面”で広がるタイプ(PMMA、PC 厚肉、高粘度PA など)はアーム型とは対極です。
アーム型流動が有利な製品
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長くて細い部品
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フィンやリブの多い成形品
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大型・薄肉外装品
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薄肉カバー、薄肉ハウジング
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電子機器の外装シェル
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ランナーが細く長い金型構造
アーム型は欠点もある
× ヒケ・ソリが出やすい
流動性が高い分、保圧時に樹脂が逃げやすい。
× バリが出やすい
金型合わせがわずかでも開くと樹脂が流れてしまう。
× 材料ロット差に敏感
高流動のため、粘度変化が仕上がりに影響しやすい。
まとめ(要点)
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アーム型成形材=樹脂が細く長く伸びて流れるタイプの材料
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低粘度・高流動の材料が多い
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薄肉や細長い部品に向いている
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ただしバリ・ソリ・ヒケは注意が必要


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