圧力波形追従制御とは?
射出成形機で、設定した圧力の「時間(または位置)に対する理想波形」に実際の成形圧力をできるだけ一致させる制御方式のことです。
簡単に言うと、
「狙った圧力カーブどおりに成形するための高精度制御」
です。
通常の射出成形は、
●「設定圧力に到達する」ことが目標
ですが、
圧力波形追従制御は、
●「圧力の立ち上がり〜保持までの“形状”そのものを一致させる」
というより高度な制御です。
どこで使われる?(主に保圧工程)
特に 保圧工程の圧力カーブに使われます。
保圧は
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樹脂の収縮の補填
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ソリ・ヒケの抑制
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寸法精度の改善
に大きく影響します。
材料や金型温度で樹脂挙動が変わっても
圧力カーブを常に一定に保つことができるため、
製品品質が安定します。
圧力波形追従制御の仕組み(ざっくり)
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オペレーターが「目標圧力波形」を設定する
例:保圧時間 5 秒の中で
・最初 0.2 秒で急上昇
・そこから徐々に減圧
といったカーブを設定。 -
成形機は、実際の金型内圧/油圧/樹脂圧をリアルタイムで監視
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設定波形との差を計算
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サーボバルブやモーターにフィードバックし圧力を微調整
→ 結果、実際の圧力が目標カーブに追従する。
なぜ必要なのか?(メリット)
◎ 1. 製品寸法の安定性が大きく向上
保圧の立ち上がりが安定すると
樹脂の充填・圧密が一定になり寸法ばらつきが減少。
◎ 2. ソリ抑制に強い
特に大型品や板状品では
「圧力の立ち上がりと減圧のタイミング」がソリに直結。
波形追従でソリが大きく改善するケース多数。
◎ 3. 金型や材料ロット差の影響を受けにくい
金型が温まってくると充填性が変わるが、
波形が一定なら結果が安定する。
◎ 4. フローマーク、膨れ、過充填の抑制
圧力が暴れにくいので外観が向上。
弱点 / 注意点
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成形機の**応答性(サーボ性能)**が低いと追従できない
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空圧式や古い油圧式では効果が出にくい
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樹脂圧センサー(型内圧センサー)があると精度がさらに上がる
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設定波形が不適切だと逆に不良が増える
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材料の粘度差が大きい場合は補正が必要
どのメーカーが使っている?(一般論)
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住友:パターン圧力制御
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日精:圧力フィードフォワード制御
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東洋機械金属:圧力プロファイル制御
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ファナック:圧力学習制御
(※一般的な技術概念であり具体固有の仕様説明ではありません)


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