PPS(ポリフェニレンサルファイド)とは
PPSは 耐熱性・耐薬品性・寸法安定性に非常に優れた結晶性のスーパーエンジニアリングプラスチック です。
高温環境でも性能が維持でき、金属代替用途として利用されます。
主な特徴
| 特性 | 内容 |
|---|---|
| 耐熱性が非常に高い | 連続使用温度 約200〜240℃ |
| 耐薬品性トップクラス | ほぼすべての薬品に耐える |
| 寸法安定性が優秀 | 収縮が小さく、吸水も少ない |
| 難燃性が高い | ほとんどがUL94 V-0、自己消火性 |
| 剛性・強度が高い | ガラス・カーボン充填でさらに高剛性 |
| 電気特性が良い | 高温下でも絶縁性維持 |
欠点
| 欠点 | 内容 |
|---|---|
| 流動性が悪め(充填材入り) | 高圧射出が必要 |
| 脆い | 衝撃には弱い、割れやすい |
| 反りやすい | 繊維配向による変形 |
| 金型腐食 | 金型材選定とベント重要 |
| 焼けやすい | 排気不足や滞留でガス焼け |
PPSの種類
| 種類 | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| 非強化(ノンフィラー) | 流動性良、衝撃性少し良い | 精密部品、電気部品 |
| GF(ガラス繊維)強化 | 高剛性・耐熱 | ギヤ、ハウジング |
| CF(炭素繊維)強化 | 高強度・高寸法精度 | 自動車、航空部品 |
| 合金(PPS+PAなど) | 衝撃改善 | 耐衝撃グレード |
射出成形条件の目安
| 項目 | 条件の目安 |
|---|---|
| 樹脂温度 | 280〜330℃ |
| 金型温度 | 120〜160℃ |
| 乾燥 | 120〜130℃ × 3〜5時間 |
| 射出 | 高圧・高速 |
| 収縮率 | 0.1〜0.5%(小さい) |
| ゲート | ファンゲート、サブマリン、ピン |
※金型温度は高め必須(結晶化のため)
よくある不良と対策
| 不良 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| ガス焼け | 排気不足、滞留 | ベント追加、射出速度調整 |
| ウェルドライン | 流動性不足、GF配向 | ゲート位置見直し、金型温度UP |
| 反り | GF配向 | ゲート位置最適化、金型温度均一 |
| フラッシュ | 高圧成形のため | 金型合わせ精度UP、保圧低減 |
代表用途
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コネクタ、スイッチ、基盤周り
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電気絶縁部品
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ポンプ部品、バルブ、液体配管
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自動車(燃料系、センサー、EV部品)
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ギヤ、ベアリング、スライダー
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高温ハウジング、金属代替パーツ
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 性質 | 高耐熱・高耐薬品・高精度 |
| 成形 | 高温金型、高溶融温度、排気必須 |
| 注意点 | ガス焼け、反り、脆さ |
| 用途 | 電気電子・自動車・精密機構部品 |


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