射出成形や押出成形で使用する樹脂ペレットを、成形前に乾燥させる装置です。
特に、吸湿性樹脂(ナイロン、ポリカーボネート、PETなど)では、
ペレット内の水分が残っていると、成形時に蒸発して気泡・銀条・外観不良・強度低下などの原因になります。
そのため、成形直前に乾燥させるのがホッパードライヤーの役目です。
主な構成部品
| 部品名 | 役割 |
|---|---|
| ホッパー本体 | ペレットを貯蔵・乾燥する容器 |
| ヒーター | 空気を加熱して乾燥用の熱風を作る |
| ブロワー(ファン) | 温風を循環させる |
| 温度センサー | 設定温度を一定に保つ |
| エアフィルター | 異物を防ぎ、清浄な空気を供給 |
乾燥のしくみ
-
下部ヒーターで空気を加熱
→ 乾燥温度まで温める(例:80〜120℃) -
ブロワーで温風を上向きに吹き上げる
→ ペレットのすき間を通って上昇 -
ペレット内の水分を蒸発させる
→ 湿った空気は上部から排出される -
乾燥したペレットが下に落ち、成形機へ供給される
ホッパードライヤーの目的
| 目的 | 内容 |
|---|---|
| ① 吸湿防止 | 成形時の気泡・白化・外観不良を防止 |
| ② 機械特性の維持 | 水分による加水分解を防ぎ、強度を保つ |
| ③ 成形安定化 | ペレットの温度・水分を一定にして品質を安定させる |
主な樹脂と乾燥条件(目安)
| 樹脂名 | 吸湿性 | 乾燥温度 | 乾燥時間 |
|---|---|---|---|
| ABS | 弱い | 80℃ | 2〜3時間 |
| PC(ポリカーボネート) | 強い | 120℃ | 4〜6時間 |
| PA(ナイロン6) | 強い | 80〜90℃ | 4〜6時間 |
| PET | 非常に強い | 160℃ | 4〜5時間 |
| PMMA(アクリル) | 弱い | 80℃ | 2〜3時間 |
| PBT | 強い | 120℃ | 3〜4時間 |
※樹脂メーカーの仕様書で確認するのが基本です。
乾燥不足による不良例
| 不良現象 | 原因 |
|---|---|
| 銀条(スジ) | 水分が気化して気泡が発生 |
| ボイド(空洞) | 内部の水蒸気膨張 |
| 外観の白濁・ムラ | 表面に蒸気が噴き出す |
| 強度低下 | 加水分解で分子鎖が切れる |
ホッパードライヤーの運用ポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設定温度管理 | 高すぎるとペレットが黄変・焦げる |
| 乾燥時間の管理 | 樹脂の種類・粒径・量で調整 |
| 清掃 | 樹脂や粉が残ると熱変色・異物混入の原因 |
| 断熱カバー | 熱効率を上げ、省エネ効果も高い |
| エアフィルター点検 | 目詰まりすると乾燥効率が低下 |
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | ホッパードライヤー(Hopper Dryer) |
| 目的 | ペレットを加熱乾燥して水分除去 |
| 主な対象 | 吸湿性樹脂(PA, PC, PETなど) |
| 温度範囲 | 約70〜160℃(樹脂による) |
| 主な効果 | 外観・寸法・強度の安定化 |
| 注意点 | 過乾燥・焦げ付き・温度管理に注意 |


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