フィルムゲート(Film Gate)とは、
薄くて幅の広いゲートのことです。
形状が「フィルム(膜)」のように平たく広がっているため、
樹脂を広い範囲から均一に流し込むことができます。
🧩構造イメージ
見た目は「細長いスリット状(帯状)」のゲートで、
製品の一辺に沿って取り付けられることが多いです。
特徴まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲート形状 | 幅広・薄膜状(スリット形状) |
| 樹脂の流れ | 広い範囲から均一に流入 |
| ゲート跡 | 比較的目立つ(カット痕が長い) |
| 主な用途 | 大型平板、透明部品、光学部品など |
メリット
| メリット | 説明 |
|---|---|
| 🔹 樹脂が均一に流れる | 薄く広い流入口のため、充填ムラやヒケが少ない |
| 🔹 残留応力が小さい | 樹脂が穏やかに広がるため、内部応力を抑制できる |
| 🔹 ウェルドライン発生を軽減 | 均一充填により流れの合流が安定する |
| 🔹 外観性が良い | 光学製品などで透明度を確保しやすい |
デメリット
| デメリット | 説明 |
|---|---|
| 🔸 ゲートトリミングが必要 | 面積が広いため、カット作業が手間 |
| 🔸 ゲート跡が目立ちやすい | 広い面で切り離すため、外観に影響が出ることがある |
| 🔸 ゲート部の冷却が遅い | 面積が広いため固まりにくく、サイクルタイムに影響することも |
| 🔸 金型構造が複雑 | 均一流動を保つ設計が必要になる |
設計の目安
| 項目 | 一般的な目安 |
|---|---|
| ゲート厚み | 成形品厚みの約0.5〜0.8倍 |
| ゲート幅 | 成形品幅の20〜80%程度(大きい製品ほど広く) |
| ゲート長さ | 0.5〜2 mm程度 |
| 配置 | 成形品の端面または広い面の一辺に沿って配置 |
使用される代表的な樹脂
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PC(ポリカーボネート)
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PMMA(アクリル)
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PS(ポリスチレン)
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ABS
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SAN、AS樹脂
特に、透明樹脂や大型外観部品で使用されることが多いです。
フィルムゲートの用途例
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液晶パネルカバー
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自動車インストルメントパネル
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ディスプレイ窓部品
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大型透明カバー
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薄肉プレート製品 など
ファンゲートとの違い
| 項目 | フィルムゲート | ファンゲート |
|---|---|---|
| 形状 | 幅広で均一なスリット状 | 扇形に広がる形 |
| 樹脂流動 | 一定方向に平行流入 | 放射状に広がる流入 |
| 外観 | 均一流動で歪みが少ない | 広がり方向で流動バランスが良い |
| 主な用途 | 薄肉・透明・大型部品 | 平板・外観重視部品 |
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 幅広く薄いスリット状のゲート |
| メリット | 均一充填・残留応力小・外観良好 |
| デメリット | カットが必要・ゲート跡が目立つ |
| 主な用途 | 透明部品・薄肉製品・大型平板部品 |


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