ひずみとは、
物体に力が加わったときにどれだけ変形したかを表す量です。
つまり、
「もとの長さに対して、どのくらい伸びたり縮んだりしたか」
を示す指標です。
🧮基本の式
ひずみ(ε)=変形量(ΔL)元の長さ(L0)
例:
長さ100 mmの樹脂試験片が、力を加えて101 mmに伸びたとします。
このとき:
ε=101−100100=0.01
つまり、1%(=0.01)ひずみです。
ひずみの種類
| 種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 引張ひずみ | 引っ張られて伸びる変形 | 材料が引っ張られて細くなる |
| 圧縮ひずみ | 押されて縮む変形 | 部品が押し潰される |
| せん断ひずみ | 物体がずれる変形 | 金型からのせん断応力など |
| 曲げひずみ | 片側が伸び、反対側が縮む | 板や成形品の反り |
ひずみと応力の関係
材料力学で有名な フックの法則 によって、
応力(σ)とひずみ(ε)は比例します(弾性域内で)。
σ=E×ε
ここで、
-
σ:応力(Pa)
-
ε:ひずみ(無次元)
-
E:ヤング率(弾性率)
つまり、材料がどれだけ硬いか(変形しにくいか)は、この「E(ヤング率)」で決まります。
射出成形における「ひずみ」
射出成形品では、残留ひずみが重要です。
成形後に内部に応力が残っていると、時間の経過や温度変化で次のような問題が起こります。
🔹 残留ひずみによるトラブル
-
クラック(割れ)
-
反り・変形
-
応力白化(クレージング)
-
寸法変動
🔹 原因例
-
成形温度が低すぎる
-
ゲート位置や冷却不均一
-
型開きが早すぎる
-
成形品に無理な取り出し力がかかる
ひずみの対策
| 原因 | 対策 |
|---|---|
| 温度差による内部応力 | 金型温度を均一化、冷却時間を十分に取る |
| 成形条件不適 | 射出圧・保圧・冷却バランスを最適化 |
| 応力集中 | コーナーRを大きくする、肉厚を均一にする |
| 乾燥不足 | 吸湿による応力割れ防止のため乾燥徹底 |
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 外力による変形割合 |
| 単位 | なし(%や比で表す) |
| 関係式 | 応力 = ヤング率 × ひずみ |
| 成形での意味 | 残留応力や変形の指標 |
| 注意点 | 残留ひずみはクラックや反りの原因になる |


コメント