ヒケ

ヒケ(sink mark)とは、射出成形品の表面がへこんで見える欠陥のことです。
特に肉厚部分やリブ・ボスの裏側などで発生しやすく、外観不良の代表例です。

ヒケが発生する原因

  1. 肉厚部の冷却ムラ
     → 肉厚が厚い部分は冷却が遅く、樹脂が固まるときに内部が収縮して表面がへこむ。

  2. 保圧不足または保圧時間不足
     → 樹脂が固まる前に保圧が抜けると、内部収縮分の樹脂が補給されず表面が沈む。

  3. ゲート位置やゲート径が不適切
     → 肉厚部から遠い位置にゲートがあると、十分な保圧が届かない。

  4. 樹脂温度・型温が高すぎる
     → 冷却が遅れ、収縮が大きくなる。
     (ただし低すぎても充填不足を起こすため、バランスが大切)

  5. 冷却回路の不均一
     → 冷却水の流れが偏っていると、冷却ムラが発生しやすい。

対策方法

  1. 保圧条件の最適化
     - 保圧圧力を上げる
     - 保圧時間を延ばす
     → 固化完了まで十分に樹脂を補給して、収縮を抑える。

  2. ゲート位置・形状の見直し
     → 肉厚部に近い位置にゲートを設ける。
     → ピンゲートよりもランナーゲートのほうが保圧が伝わりやすい。

  3. 金型冷却の改善
     → 肉厚部の冷却を強化(冷却管の追加やピンポイント冷却など)。

  4. 製品設計の工夫
     → 肉厚を均一にする。
     → リブやボスの付け根を薄くする。
     → 中空構造にする(中空成形や発泡成形で有効)。

  5. 樹脂温度・型温の調整
     → 冷却が早すぎると充填不足、遅すぎるとヒケになるため適正値を保つ。

補足

ヒケは見た目だけでなく、
内部の密度ムラ寸法精度の悪化にもつながります。
外観部品では特に重視されるため、金型設計段階で予防することが重要です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました