鼻垂れ(はなたれ)とは、射出成形においてノズル先端から溶融樹脂が意図せず垂れ落ちる現象を指します。
英語では “drooling” や “nozzle drool” と呼ばれます。
原因
鼻垂れが起こる主な原因は以下の通りです:
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ノズル先端温度が高すぎる
→ 溶融樹脂の粘度が低下し、重力で垂れやすくなる。 -
逆流防止弁(チェックリング)の密封不良
→ スクリュ後退時に樹脂が前方へ漏れ、ノズルから押し出される。 -
樹脂の熱安定性が低い/粘度が低い
→ 低粘度樹脂(PA、PP、PEなど)は垂れやすい傾向。 -
スクリュ前進圧が残っている
→ 成形後にスクリュにわずかに圧力が残ると、樹脂が押し出される。
対策
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ノズル温度を下げる
→ ただし下げすぎると糸引きや充填不良の原因になるため注意。 -
逆流防止弁の点検・交換
→ 摩耗や汚れで密閉性が悪くなっていないか確認。 -
パージを十分に行う
→ 残留樹脂やガスが原因で圧力が残るのを防ぐ。 -
スクリュの後退動作を最適化
→ 射出後のスクリュ後退速度を適切に設定し、圧を抜く。 -
ノズルシャットオフ機構を使う
→ 空圧・油圧式の「シャットオフノズル」で樹脂流出を物理的に防止。
補足
鼻垂れは軽視されがちですが、
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サイクルごとに糸状樹脂が金型に付着して外観不良を招く
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成形サイクルが乱れる
などの問題を引き起こすため、安定成形には重要な管理ポイントです。


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