背圧(Back Pressure) とは、
射出成形機でスクリュが後退して樹脂を計量する際に、
スクリュの後退を油圧などで制限して加える圧力 のことです。
簡単に言えば、
樹脂をしっかり練り混ぜるために、スクリュの動きに「抵抗(圧力)」をかけること
です。
背圧の主な目的
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樹脂の混練を良くする
→ 着色剤や添加剤が均一に分散され、色ムラが減る。 -
樹脂中のガスや空気を抜く
→ ボイド(空洞)や焼けを防ぐ。 -
計量の安定化
→ 樹脂の密度が均一になり、射出量のばらつきが減る。 -
樹脂温度の均一化
→ シリンダ内の温度ムラを防ぎ、流動性が安定する。
背圧を高くしすぎた場合の影響
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樹脂の温度上昇(せん断熱が増える)
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計量時間の延長
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ガスや揮発分が多い樹脂では「焼け」や「銀条(シルバーストリーク)」発生
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スクリュや機械への負荷が増える
背圧を低くしすぎた場合の影響
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樹脂の混練不足(色ムラ・ガス混入)
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計量量のばらつき
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成形品の重量・寸法が安定しない
一般的な背圧設定目安(参考)
| 樹脂種類 | 背圧の目安(MPa) | 備考 |
|---|---|---|
| 汎用樹脂(PP、PEなど) | 2〜5 | 通常設定 |
| エンジニアリングプラスチック(ABS、PCなど) | 5〜10 | 均一混練を重視 |
| ガラス繊維入り樹脂 | 3〜8 | 繊維破断を防ぐため中程度 |
| 熱に弱い樹脂(PVCなど) | 1〜3 | 過熱・分解防止のため低め |
まとめ
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背圧 = 計量中にスクリュへ加える抵抗圧
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目的は「混練・脱気・密度安定」
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高すぎても低すぎても不良につながるため、樹脂と条件に合わせた調整が重要


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