内部応力

内部応力(residual stress) とは、成形品の 外部からの力が加わっていない状態でも、材料内部に残っている応力 のことです。

射出成形では、冷却・収縮・充填などの工程で樹脂分子が不均一に配列するため、成形品内部に応力が残ります。

内部応力が発生する原因

  1. 冷却の不均一

    • 厚肉部と薄肉部で冷却速度が異なる → 収縮差 → 内部応力

  2. 射出圧力や速度の不均一

    • 高圧で充填された部分と低圧部分で応力が残る

  3. ゲート・ランナー位置

    • 樹脂の流れ方向や充填タイミングによる応力集中

  4. 結晶化や配向

    • 半結晶性樹脂では分子の配向による収縮差で応力が発生

内部応力の影響

  • そり・変形

    • 製品が金型から離れた後に反り返る

  • 寸法変化

    • 精密部品で誤差が発生

  • 割れ・クラック

    • 環境応力割れ(ESC)の原因

  • 接着・塗装不良

    • 内部応力が表面処理や接着に影響

内部応力の測定方法

  • ひずみゲージ法:局所のひずみを計測

  • 屈折法(光学応力測定):透明樹脂に応力分布を観察

  • ねじり法や切断法:切断したときの変形から推定

内部応力の低減方法

  1. 均一な冷却

    • 金型冷却ラインの最適化

  2. 射出条件の最適化

    • 適正速度・圧力・保圧の設定

  3. 製品設計

    • 肉厚を均一にする

    • リブや段差を工夫して応力集中を避ける

  4. アニーリング(応力除去熱処理)

    • 成形後に一定温度で加熱して内部応力を緩和

まとめ

  • 内部応力 = 樹脂内部に残る応力

  • 原因:冷却差・圧力差・分子配向など

  • 影響:そり、寸法変化、割れ、接着不良

  • 対策:均一冷却・成形条件最適化・アニーリング・設計改善

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