射出成形機における トグル(toggle) とは、
型締機構の一つで、リンク機構(てこのような関節構造)を利用して金型を締め付ける方式 のことをいいます。
トグル型締機構は、複数のリンクをひし形に組み合わせて動かすことで、最終的に大きな型締力を得るのが特徴です。
トグル機構の仕組み
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可動プラテンをサーボモータや油圧シリンダで前進させる
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リンクが伸びきる直前で「ロック」され、大きな型締力が発生する
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型締め力はリンクの角度が直線に近づくほど急激に増加する
トグル方式の特徴
メリット
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省エネ
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型締め保持時にほとんど動力を必要としない(リンクがロックするため)。
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剛性が高い
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強力に金型を保持でき、型開きの心配が少ない。
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高速型開閉が可能
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樹脂成形のサイクルタイム短縮につながる。
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位置決め精度が高い
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可動プラテンの位置制御がしやすい。
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デメリット
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構造が複雑
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リンクやピンが多く、メンテナンスに手間がかかる。
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型厚調整に時間がかかる
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油圧直圧式に比べて金型交換時の調整が面倒。
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摩耗・バックラッシュが発生
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長期間使用でリンクやピンにガタが出る可能性がある。
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トグル式と直圧式の比較
項目 | トグル式 | 直圧式(油圧式) |
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型締力の発生 | リンクでロック | 油圧シリンダ直接 |
保持時の省エネ性 | ◎ | △(常時油圧が必要) |
構造 | 複雑 | シンプル |
メンテナンス | 頻繁に必要 | 比較的少ない |
型開閉速度 | 高速 | やや遅い |
精度 | 高い | 高い |
まとめ
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トグル = リンク機構で型締力を発生させる方式
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メリット:省エネ・高速動作・強力な型締力
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デメリット:構造が複雑・摩耗リスク・型厚調整が面倒
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現在は 小型~中型機でトグル式、大型機は直圧式 がよく採用される
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