トグル

射出成形機における トグル(toggle) とは、
型締機構の一つで、リンク機構(てこのような関節構造)を利用して金型を締め付ける方式 のことをいいます。

トグル型締機構は、複数のリンクをひし形に組み合わせて動かすことで、最終的に大きな型締力を得るのが特徴です。

トグル機構の仕組み

  • 可動プラテンをサーボモータや油圧シリンダで前進させる

  • リンクが伸びきる直前で「ロック」され、大きな型締力が発生する

  • 型締め力はリンクの角度が直線に近づくほど急激に増加する

トグル方式の特徴

メリット

  1. 省エネ

    • 型締め保持時にほとんど動力を必要としない(リンクがロックするため)。

  2. 剛性が高い

    • 強力に金型を保持でき、型開きの心配が少ない。

  3. 高速型開閉が可能

    • 樹脂成形のサイクルタイム短縮につながる。

  4. 位置決め精度が高い

    • 可動プラテンの位置制御がしやすい。

デメリット

  1. 構造が複雑

    • リンクやピンが多く、メンテナンスに手間がかかる。

  2. 型厚調整に時間がかかる

    • 油圧直圧式に比べて金型交換時の調整が面倒。

  3. 摩耗・バックラッシュが発生

    • 長期間使用でリンクやピンにガタが出る可能性がある。

トグル式と直圧式の比較

項目 トグル式 直圧式(油圧式)
型締力の発生 リンクでロック 油圧シリンダ直接
保持時の省エネ性 △(常時油圧が必要)
構造 複雑 シンプル
メンテナンス 頻繁に必要 比較的少ない
型開閉速度 高速 やや遅い
精度 高い 高い

まとめ

  • トグル = リンク機構で型締力を発生させる方式

  • メリット:省エネ・高速動作・強力な型締力

  • デメリット:構造が複雑・摩耗リスク・型厚調整が面倒

  • 現在は 小型~中型機でトグル式、大型機は直圧式 がよく採用される

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