耐油性(oil resistance) とは、材料が 鉱物油・潤滑油・燃料油などの油類にさらされたときに、膨潤・軟化・分解せず、性能を維持できる性質 を指します。
ゴムやプラスチックは油を吸収しやすく、油中で 体積膨張・機械的強度低下・ひび割れ が起こることがあるため、耐油性は特に自動車・機械分野で重要です。
耐油性に影響する要因
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材料の分子構造
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無極性材料は油を吸収しにくく、耐油性が高い
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極性材料は油と親和しやすく、膨潤しやすい
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油の種類
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鉱物油(エンジン油、ギア油)
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合成油(シリコーンオイル、エステル系油)
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燃料油(ガソリン、軽油、灯油)
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温度
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高温下では油との相互作用が進み、劣化が加速
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耐油性に優れる材料
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ゴム材料
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NBR(ニトリルゴム):代表的な耐油ゴム、燃料・潤滑油に強い
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FKM(フッ素ゴム):耐油性・耐熱性ともに優秀
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HNBR、ACM(アクリルゴム)も耐油性が良い
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プラスチック材料
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PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン):多くの油に安定
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PA(ナイロン)、POM(ポリアセタール):燃料系に強い
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PPS、PEEK:高温下でも耐油性を維持
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耐油性が弱い材料
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ゴム:NR(天然ゴム)、EPDM → 鉱物油に弱い
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プラスチック:PC、PS、PMMA(アクリル) → 油で膨潤・クラックが起こりやすい
評価方法
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浸漬試験
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試験片を油中に一定時間浸して、重量変化・体積変化を測定
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物性試験
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引張強度・硬度・伸び率の変化を確認
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長期試験
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高温油中での劣化挙動を観察
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主な用途
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自動車部品(燃料ホース、パッキン、シール、ガスケット)
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産業機械(油圧ホース、シール材)
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電気・電子機器(絶縁油接触部品)
まとめ
耐油性とは、
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油にさらされても膨潤や劣化を起こしにくい性質
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ゴムでは NBR・FKM、樹脂では PP・POM・PEEK が代表的に強い
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使用温度と油の種類を考慮して材料選定が必要
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