耐油性

耐油性(oil resistance) とは、材料が 鉱物油・潤滑油・燃料油などの油類にさらされたときに、膨潤・軟化・分解せず、性能を維持できる性質 を指します。

ゴムやプラスチックは油を吸収しやすく、油中で 体積膨張・機械的強度低下・ひび割れ が起こることがあるため、耐油性は特に自動車・機械分野で重要です。

耐油性に影響する要因

  1. 材料の分子構造

    • 無極性材料は油を吸収しにくく、耐油性が高い

    • 極性材料は油と親和しやすく、膨潤しやすい

  2. 油の種類

    • 鉱物油(エンジン油、ギア油)

    • 合成油(シリコーンオイル、エステル系油)

    • 燃料油(ガソリン、軽油、灯油)

  3. 温度

    • 高温下では油との相互作用が進み、劣化が加速

耐油性に優れる材料

  • ゴム材料

    • NBR(ニトリルゴム):代表的な耐油ゴム、燃料・潤滑油に強い

    • FKM(フッ素ゴム):耐油性・耐熱性ともに優秀

    • HNBR、ACM(アクリルゴム)も耐油性が良い

  • プラスチック材料

    • PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン):多くの油に安定

    • PA(ナイロン)、POM(ポリアセタール):燃料系に強い

    • PPS、PEEK:高温下でも耐油性を維持

耐油性が弱い材料

  • ゴム:NR(天然ゴム)、EPDM → 鉱物油に弱い

  • プラスチック:PC、PS、PMMA(アクリル) → 油で膨潤・クラックが起こりやすい


評価方法

  • 浸漬試験

    • 試験片を油中に一定時間浸して、重量変化・体積変化を測定

  • 物性試験

    • 引張強度・硬度・伸び率の変化を確認

  • 長期試験

    • 高温油中での劣化挙動を観察

主な用途

  • 自動車部品(燃料ホース、パッキン、シール、ガスケット)

  • 産業機械(油圧ホース、シール材)

  • 電気・電子機器(絶縁油接触部品)

まとめ

耐油性とは、

  • 油にさらされても膨潤や劣化を起こしにくい性質

  • ゴムでは NBR・FKM、樹脂では PP・POM・PEEK が代表的に強い

  • 使用温度と油の種類を考慮して材料選定が必要

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