耐アーク性(arc resistance) とは、
プラスチックや絶縁材料が 電気アーク(放電現象)にさらされたときに、炭化や導電性の劣化を起こさずに耐えられる性能 を指します。
電気アークは高温で局所的に強いエネルギーを持つため、樹脂の表面が炭化すると絶縁性が失われ、短絡や絶縁破壊の原因になります。
そのため、耐アーク性は電気・電子機器用樹脂にとって重要な特性です。
測定方法(代表例)
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ASTM D495(アーク抵抗試験)
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試料表面に規定の電圧でアークを連続的に発生させ、
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表面が炭化して導電路が形成されるまでの時間(秒)を測定
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単位は「秒」で表され、数値が大きいほど耐アーク性が高い
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耐アーク性に優れる材料
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熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂など)
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炭化しにくく、表面に絶縁層を維持しやすい
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一部のエンジニアリングプラスチック(PBT、PET、PC など)
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グレードによって耐アーク性を強化可能(無機充填や難燃化処理)
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セラミックス、無機材料 → 樹脂より圧倒的に強い
耐アーク性が低いとどうなるか
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表面が炭化して黒くなる
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導電路が形成され、**トラッキング現象(表面沿面放電)**が発生
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絶縁破壊 → 装置の誤動作・火災リスク
主な用途
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電気絶縁部品(スイッチ、ソケット、リレー、ブレーカー)
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高電圧機器のケースやハウジング
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自動車の電装品、EV関連部品
まとめ
耐アーク性とは、
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電気アークにさらされても絶縁性を保つ性能
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秒数で評価(ASTM D495 など)、大きいほど優秀
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電気・電子部品の安全性確保に不可欠
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