成形温度

成形温度とは、射出成形において樹脂を溶かして金型に流し込む際に管理する温度のことです。
主に次の要素を指します。

  1. シリンダー温度(バレル温度)

    • 樹脂を溶融するためにスクリュシリンダーに設定する温度

    • ゾーンごとに温度を分けて制御(ホッパー側は低め、ノズル側は高め)

  2. ノズル温度

    • ノズル内で樹脂が冷えて固まらないようにする温度

    • シリンダー先端よりやや低めに設定することが多い

  3. 金型温度(モールド温度)

    • 金型を加熱・冷却して一定に保つ温度

    • 流動性や表面品質、寸法精度に大きな影響を与える

成形温度の役割

  • 樹脂を適切に可塑化(溶融・混練)する

  • 流動性を確保して金型の隅々まで充填させる

  • 成形品の外観品質(ウェルド、シルバーストリークなど)に影響

  • 成形品の寸法精度・物性(強度・耐熱性など)を安定させる

設定の考え方

  • 低すぎる場合

    • 溶け残りや充填不良、ウェルドラインの悪化が発生

  • 高すぎる場合

    • ガス焼け、変色、樹脂の熱劣化、フラッシュが発生しやすい

→ その樹脂ごとに メーカー推奨の成形温度範囲 があり、その中で最適化するのが基本です。

代表的な成形温度範囲(目安)

  • 汎用プラスチック

    • PE:180〜230℃

    • PP:200〜250℃

    • PS:180〜240℃

  • エンジニアリングプラスチック

    • ABS:200〜260℃

    • PC:260〜320℃

    • POM:190〜230℃

  • スーパーエンプラ

    • PEEK:350〜400℃

    • PPS:300〜350℃

まとめ

成形温度とは、

  • シリンダー・ノズル・金型の温度を総合的に管理するもの

  • 樹脂の流動性や製品の品質に直結する重要な条件

  • 「低すぎると充填不良」「高すぎると劣化」というトレードオフがある

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