射出成形における充填(filling)とは、
スクリューの前進によって溶融樹脂を金型キャビティに流し込み、空間を満たす工程のことです。
成形サイクルの中では、
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計量(次ショットの樹脂をためる)
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充填(樹脂をキャビティに流す)
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保圧(収縮分を補う)
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冷却
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型開き・取出し
という流れの中で「充填」は射出の前半ステージにあたります。
充填の目的
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金型キャビティの隅々まで樹脂を行き渡らせる
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成形品の外観や形状を再現(転写性の確保)
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保圧工程にスムーズに移行できる状態をつくる
充填に関わる条件
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射出速度
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速すぎる → バリ、ジェティング、焼け
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遅すぎる → ショートショット、転写不足
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射出圧力
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速度を維持するための駆動力
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樹脂が奥まで届くかどうかに直結
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樹脂温度・金型温度
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樹脂が流れやすいかどうかを決定
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温度不足だと途中で固まってショートショットになる
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切替位置(充填 → 保圧の切替点)
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適切でないと、充填不足やバリの原因になる
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充填不良の例
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ショートショット(樹脂が最後まで届かない)
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フローマーク(流れ模様)
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ジェティング(糸状跡)
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シルバーストリーク(銀条)
まとめ
充填とは、溶融樹脂を金型キャビティに流し込む工程であり、
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射出速度
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射出圧力
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樹脂温度・金型温度
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切替位置
が大きく影響します。
この充填工程の安定化が、その後の保圧・冷却・寸法精度・外観品質に直結します。
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