射出率(Injection Rate)とは、単位時間あたりに金型へ射出できる樹脂量を表す指標です。
一般的には、
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cm³/sec(立方センチメートル/秒)
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g/sec(グラム/秒)
といった単位で示されます。
簡単にいうと「どれだけ速く樹脂を押し込めるか」を数値化したものです。
定義のイメージ
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射出速度(スクリュー前進の速さ) × スクリュー断面積 = 樹脂の送り出し体積(=射出率)
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成形機カタログなどでは「最大射出率」として表記されることが多い。
射出率が重要になる場面
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薄肉製品の成形
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薄肉部品では樹脂がすぐに冷えて固まりやすいため、高い射出率で一気に充填する必要がある。
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長流動製品の成形
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流動距離が長い場合、低い射出率では途中で固まってショートショットになる可能性がある。
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光学製品や外観品
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適切な射出率で樹脂を流すことで、転写性や表面品質が安定する。
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射出率と射出速度の違い
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射出速度:スクリューの前進速度(mm/s)
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射出率:樹脂の吐出量(cm³/s、g/s)
つまり、射出率は「速度」に「スクリュー断面積」を掛けたもので、より実際の樹脂の流量に近い指標です。
成形機選定の目安
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製品設計時に必要な射出率を計算し、
成形機のカタログ値(最大射出率)がそれを上回っているか確認する。 -
特に 薄肉製品(電子部品、光学レンズ、容器類) では必須のチェック項目です。
まとめ
射出率は 「単位時間あたりの樹脂吐出能力」 を表し、
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薄肉・長流動製品の充填性
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成形サイクルの安定性
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外観や寸法精度
に直結する重要な性能指標です。
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