射出速度

射出速度(Injection Speed)は、射出成形においてスクリューが前進して樹脂を金型へ充填する際の移動速度を指します。
簡単に言うと、樹脂を金型に流し込む速さのことです。

射出速度の役割

  1. 充填状態の制御
    ・速い → 金型の隅々まで届きやすい、転写性向上
    ・遅い → 樹脂が途中で冷えてショートショットになりやすい

  2. 外観品質への影響
    ・速すぎる → フラッシュ(バリ)、焼け(ディーゼル効果)、ウェルド強度低下、シルバーストリークなどの外観不良
    ・遅すぎる → ヒケ、充填不足、転写不良

  3. 内部応力のコントロール
    射出速度が速いと樹脂が急激にせん断され、分子配向や残留応力が大きくなる。

射出速度の設定方法

  • ステップ制御が基本
    樹脂の充填過程を「複数段階」に分けて射出速度を切り替えるのが一般的です。
    例:
    1段目:高速 → ゲートを通過してキャビティに充填しやすくする
    2段目:中速 → キャビティの大部分を充填
    3段目:低速 → 最後の微細部を樹脂焼けやバリを抑えて埋める

  • 樹脂と製品形状で変える
    薄肉・長流動 → 高速射出
    厚肉・光学製品 → 低速射出で応力を抑制

射出圧力との関係

  • 成形機は「射出速度制御」を優先します。

  • ただし、速度を維持するために必要な力が「射出圧力」として発生します。

  • 設定速度が高すぎると、成形機の圧力上限に達して速度が出ない(=圧力制御状態になる)こともあります。

まとめ

射出速度は 「どれくらいの速さで金型に樹脂を流し込むか」 を決める条件で、

  • 製品の外観

  • 転写性

  • 内部応力

  • 成形サイクル

に大きな影響を与える重要なパラメータです。

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