射出圧縮成形

射出圧縮成形(Injection Compression Molding)とは

射出圧縮成形は、射出成形と圧縮成形を組み合わせた成形方法です。
通常の射出成形では、樹脂を一気にキャビティへ充填して「射出 → 保圧 → 冷却」と進みますが、射出圧縮成形では

  1. 型をわずかに開いた状態(あるいは可動側が後退した状態)で樹脂を射出

  2. 射出後に金型を閉じる(圧縮動作)ことで、樹脂をキャビティ全体に均一に広げる

というプロセスをとります。

特徴・メリット

  1. 低射出圧力で充填可能
    圧縮によって樹脂が広がるため、薄肉や大面積の成形品でも射出圧力を下げられる。

  2. そり・残留応力の低減
    樹脂が圧縮されながら広がるため、内部応力や分子配向が少なく、寸法安定性が向上する。

  3. 光学部品に有効
    厚肉レンズ、DVD/BD基板、導光板などで利用される。光学性能(透過率、屈折率均一性)が向上する。

  4. 転写性が高い
    圧縮により樹脂が型面に密着するため、微細構造の転写性が良い。

注意点・課題

  • 金型構造が複雑
    圧縮機構(可動プラテンやインサート)を備える必要がある。

  • 成形条件の制御がシビア
    射出開始位置、圧縮ストローク、切替タイミングがずれると不良が発生しやすい。

  • サイクルタイムが長くなる場合がある
    圧縮動作を伴うため、標準射出成形に比べて若干時間がかかることがある。

適用例

  • 光学部品(レンズ、プリズム、DVD/BD基板)

  • 薄肉大型部品(導光板、カバー類)

  • 高寸法精度が必要な機構部品

射出圧縮成形は 「射出の速さ」と「圧縮の精度」を組み合わせて、薄肉・大面積・光学用途などで高品質な成形を実現する方法 です。

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