射出圧縮成形(Injection Compression Molding)とは
射出圧縮成形は、射出成形と圧縮成形を組み合わせた成形方法です。
通常の射出成形では、樹脂を一気にキャビティへ充填して「射出 → 保圧 → 冷却」と進みますが、射出圧縮成形では
-
型をわずかに開いた状態(あるいは可動側が後退した状態)で樹脂を射出
-
射出後に金型を閉じる(圧縮動作)ことで、樹脂をキャビティ全体に均一に広げる
というプロセスをとります。
特徴・メリット
-
低射出圧力で充填可能
圧縮によって樹脂が広がるため、薄肉や大面積の成形品でも射出圧力を下げられる。 -
そり・残留応力の低減
樹脂が圧縮されながら広がるため、内部応力や分子配向が少なく、寸法安定性が向上する。 -
光学部品に有効
厚肉レンズ、DVD/BD基板、導光板などで利用される。光学性能(透過率、屈折率均一性)が向上する。 -
転写性が高い
圧縮により樹脂が型面に密着するため、微細構造の転写性が良い。
注意点・課題
-
金型構造が複雑
圧縮機構(可動プラテンやインサート)を備える必要がある。 -
成形条件の制御がシビア
射出開始位置、圧縮ストローク、切替タイミングがずれると不良が発生しやすい。 -
サイクルタイムが長くなる場合がある
圧縮動作を伴うため、標準射出成形に比べて若干時間がかかることがある。
適用例
-
光学部品(レンズ、プリズム、DVD/BD基板)
-
薄肉大型部品(導光板、カバー類)
-
高寸法精度が必要な機構部品
射出圧縮成形は 「射出の速さ」と「圧縮の精度」を組み合わせて、薄肉・大面積・光学用途などで高品質な成形を実現する方法 です。
コメント