射出圧力

射出圧力とは、射出成形機のスクリューが前進して溶融樹脂を金型キャビティへ充填する際に、樹脂へ加えられる圧力のことです。
一般的には「射出圧力(injection pressure)」と呼ばれ、射出速度を確保するための駆動力として働きます。

役割

  1. 樹脂の充填
    金型の細かい部分や薄肉部にまで樹脂を行き渡らせる。

  2. 転写性の確保
    表面の微細な形状(シボ、文字、光学パターンなど)を再現する。

  3. 射出速度制御の裏付け
    スクリューを一定速度で前進させるために必要な圧力。

測定される2つの圧力

射出成形では、射出圧力に関連して2つの圧力が扱われます。

  1. シリンダ内圧(油圧ベース)

    • 成形機が表示する「射出圧力」は、油圧やサーボモータの駆動力を樹脂圧に換算したもの。

    • 機械によって「油圧系圧力」と「樹脂圧力」のどちらを表示しているかは異なる。

  2. キャビティ内圧(樹脂圧)

    • 実際に金型の中に充填された樹脂が受ける圧力。

    • 金型にセンサーを取り付けて計測する。

    • 成形品の品質(寸法安定性、ひけ、バリ)に直結する。

射出圧力と成形条件

  • 高すぎる場合

    • バリ発生

    • 金型・機械への負担増大

    • 樹脂の分解(せん断熱)

  • 低すぎる場合

    • 充填不足(ショートショット)

    • 転写不良

    • ウェルドラインの強度低下

関連する条件

  • 射出速度:スクリューの前進速度。射出圧力はこの速度を維持するための結果。

  • 保圧(パッキング圧力):充填後に樹脂が冷える際の収縮を補うために加える圧力。

  • 切替位置:射出から保圧へ切り替えるタイミング。ここを誤るとショートやバリが起きやすい。

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