コールドランナ

射出成形において樹脂を金型内のキャビティへ流す通路(ランナ)が金型と同じ温度で冷却されるタイプの成形方式、あるいはその部分の名称です。

コールドランナの構造と役割

  • 金型の固定側・可動側に加工された溝(流路)のことで、キャビティへ樹脂を導く役割を担います。

  • 製品とは別にランナー自体も冷却され、成形後に固化します。

  • 成形サイクルごとにランナーも一緒に取り出され、製品とは別にゲート・ランナーを除去する必要があります。

フローチャートで見る成形の流れ

  1. 可塑化された樹脂がノズルからスプルーへ

  2. スプルー → ランナー(コールドランナ)を通過

  3. ゲートを経由してキャビティへ充填

  4. 全体が冷却されて、製品+ランナー系が固化

  5. 型開後、ランナー付きで取り出し → ランナーは切断・再利用(または廃棄)

特徴まとめ

項目 内容
温度 金型と同様に冷却される(=樹脂が固化)
廃材 ランナー部分が毎回成形されるため「廃材」が発生
メリット 金型構造が比較的シンプル/立ち上げが容易
デメリット 材料ロスが大きい/取り扱い・切断工程が必要/サイクルが若干長くなる

メリット

  • 金型構造が簡単で安価

  • 量産前のトライや試作成形に使いやすい

  • 成形条件の管理がシンプル

  • ランナーが見えるので流動解析や充填状態の確認が容易

デメリット

デメリット 説明
材料ロスが大きい ランナー部分が毎回発生(特に高価なエンプラでは問題)
成形サイクルがやや長い ランナーの冷却時間も必要なため
手作業が増える ランナーの除去・仕分けなど工程が増える
自動化しにくい ホットランナ方式に比べて難しい場合がある

ホットランナとの違い

項目 コールドランナ ホットランナ
ランナー温度 金型と同温度(冷却) ヒーターで高温に保温
ランナー固化 毎回固化し取り出しが必要 固化しないため製品のみ取り出し
材料ロス 多い 少ない(ランナーゼロ)
金型コスト 安い 高い(ヒーターや制御機構が必要)
メンテ性 良い 部品交換・温度トラブルに注意

コールドランナの応用例

  • 試作金型・初期検証

  • 一部の汎用プラスチック(PP、PEなど)

  • 複雑なゲートバランス調整が不要な単品・中ロット生産

まとめ

項目 内容
定義 金型と同温度で冷却されるランナー構造。成形ごとにランナーも固化・排出される。
特徴 構造がシンプルで管理しやすいが、材料ロス・工程増のデメリットあり。
対象 試作や低コスト重視の成形品に適している。
対比 ホットランナに比べて自動化・効率面で劣るが、保守性と安価さに優れる。

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