射出成形において樹脂を金型内のキャビティへ流す通路(ランナ)が金型と同じ温度で冷却されるタイプの成形方式、あるいはその部分の名称です。
コールドランナの構造と役割
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金型の固定側・可動側に加工された溝(流路)のことで、キャビティへ樹脂を導く役割を担います。
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製品とは別にランナー自体も冷却され、成形後に固化します。
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成形サイクルごとにランナーも一緒に取り出され、製品とは別にゲート・ランナーを除去する必要があります。
フローチャートで見る成形の流れ
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可塑化された樹脂がノズルからスプルーへ
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スプルー → ランナー(コールドランナ)を通過
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ゲートを経由してキャビティへ充填
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全体が冷却されて、製品+ランナー系が固化
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型開後、ランナー付きで取り出し → ランナーは切断・再利用(または廃棄)
特徴まとめ
項目 | 内容 |
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温度 | 金型と同様に冷却される(=樹脂が固化) |
廃材 | ランナー部分が毎回成形されるため「廃材」が発生 |
メリット | 金型構造が比較的シンプル/立ち上げが容易 |
デメリット | 材料ロスが大きい/取り扱い・切断工程が必要/サイクルが若干長くなる |
メリット
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金型構造が簡単で安価
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量産前のトライや試作成形に使いやすい
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成形条件の管理がシンプル
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ランナーが見えるので流動解析や充填状態の確認が容易
デメリット
デメリット | 説明 |
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材料ロスが大きい | ランナー部分が毎回発生(特に高価なエンプラでは問題) |
成形サイクルがやや長い | ランナーの冷却時間も必要なため |
手作業が増える | ランナーの除去・仕分けなど工程が増える |
自動化しにくい | ホットランナ方式に比べて難しい場合がある |
ホットランナとの違い
項目 | コールドランナ | ホットランナ |
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ランナー温度 | 金型と同温度(冷却) | ヒーターで高温に保温 |
ランナー固化 | 毎回固化し取り出しが必要 | 固化しないため製品のみ取り出し可 |
材料ロス | 多い | 少ない(ランナーゼロ) |
金型コスト | 安い | 高い(ヒーターや制御機構が必要) |
メンテ性 | 良い | 部品交換・温度トラブルに注意 |
コールドランナの応用例
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試作金型・初期検証
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一部の汎用プラスチック(PP、PEなど)
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複雑なゲートバランス調整が不要な単品・中ロット生産
まとめ
項目 | 内容 |
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定義 | 金型と同温度で冷却されるランナー構造。成形ごとにランナーも固化・排出される。 |
特徴 | 構造がシンプルで管理しやすいが、材料ロス・工程増のデメリットあり。 |
対象 | 試作や低コスト重視の成形品に適している。 |
対比 | ホットランナに比べて自動化・効率面で劣るが、保守性と安価さに優れる。 |
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