「コールドスラッグウェル(Cold Slug Well)」とは、射出成形においてノズルやスプルー先端で冷えてしまった樹脂(=コールドスラッグ)を受け止め、製品側に流れ込まないようにするための金型内の“溝”や“ポケット”構造のことです。
これは、成形品の外観や物性を守るための非常に重要な金型設計要素です。
コールドスラッグウェルとは?
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射出の初期に流れ出る「冷えた先端樹脂」を製品に入れずに逃がすための溝
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通常はスプルーやランナーの先端部、ゲートの手前に設けられます
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この溝にコールドスラッグを落とし、本流の溶融樹脂だけが製品に充填されるようにします
なぜ必要か?(目的)
目的 | 説明 |
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✅ 異物除去 | ノズル先端で冷えて硬くなった樹脂(コールドスラッグ)を排除 |
✅ 外観品質の確保 | スラッグが製品に混ざると、光沢不良・黒点・ウェルドなどの原因に |
✅ 機械的特性の維持 | 硬化不良の樹脂が混ざると、強度や靭性が落ちる可能性がある |
✅ 成形安定化 | 安定した初期充填でバリやショートショットを防ぐ |
ウェルの設計ポイント
項目 | 推奨内容 |
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設置位置 | ランナー末端やサイドゲート手前 |
深さ | 成形品の肉厚より1.5~2倍程度深く |
直径(幅) | ノズル径よりやや大きめ(3~5mm程度が目安) |
形状 | 円筒形、角穴、ポケット状(※流れが滑らかに止まる形が望ましい) |
数・配置 | 多点ゲート金型では各流路末端に設けるのが理想 |
コールドスラッグウェルがないとどうなる?
不良 | 発生メカニズム |
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黒点 | スラッグが製品表面で目立つ |
銀条・流れ跡 | 未溶融樹脂が筋状の跡を残す |
ウェルドラインの強度低下 | 冷えた樹脂が他の流れと合流し、溶着不良に |
ショートショット | 流動抵抗が上がり、充填不良に陥る場合もあり |
まとめ:コールドスラッグウェルとは?
項目 | 内容 |
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意味 | コールドスラッグ(冷えた樹脂)を逃がすための金型の溝や穴 |
目的 | 異物の製品混入を防ぎ、外観・強度の不良を回避 |
設計位置 | ゲート・ランナー先端、スプルー末端など |
設計ポイント | 深さ・径・流れの方向に対して自然に入りやすい形状を作ることが重要 |
応用 | 高外観品や多点ゲート金型には特に有効で必須要素 |
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