コア

コア(Core)」とは、成形品の内側の空間や凹部を成形するために、金型の中に挿入される突起や構造物のことです。コアは、キャビティと対をなす部品で、中空・穴あき構造・複雑な内形状を実現するために不可欠です。

コアの基本的な意味

  • キャビティ:製品の外形を形作るくぼみ側(凹側)

  • コア:製品の内形(穴や突起)を形作る突起側(凸側)

つまり、コアは金型の中に突き出している部分であり、製品内の空洞や貫通穴などの形状を成形する役割を持ちます。

コアの具体的な役割

役割 説明
✅ 内部形状の形成 製品内部の穴・中空部・凹みなどを成形
✅ 肉厚制御 コアとキャビティ間の隙間=製品肉厚になる
✅ 離型性の確保 製品がスムーズに金型から取り出せるよう設計される
✅ 冷却 コア内部に冷却回路を設けて効率よく冷却することも可能

コアの種類(構造・動作による分類)

種類 特徴・用途
固定コア(固定ピン) 金型に固定され、常に一定位置にあるシンプルなコア
可動コア(スライドコア) 側面穴などの離型が困難な場合に、横方向に動く
リフトコア 複雑なアンダーカット形状を成形できる。斜め方向に動く
回転コア ネジ形状などを成形後、回して離型する必要があるものに使用
インサートコア 金属インサートや異材パーツの上に樹脂を射出する場合に使う

コア設計での注意点

項目 説明
アンダーカットの有無 アンダーカットがあると、コアをスライド・リフト構造にする必要がある
抜き勾配の確保 離型時に製品が引っかからないように、勾配(1°〜3°程度)をつける
肉厚の均一性 コアとキャビティの隙間が不均等だと、ヒケや変形の原因になる
冷却設計 コアが熱を持ちやすいため、冷却回路(バッフル・バブラーなど)が必要になる場合が多い

成形トラブルとコアの関係

トラブル 関係するコア設計の問題
ヒケ コア先端に樹脂が集まり、冷却不足になると発生
変形 薄肉部でコアが細すぎると、成形圧により曲がることがある
離型困難 抜き勾配不足・アンダーカット未対策で引っかかる
寸法不良 コアのたわみ・摩耗・熱膨張でサイズが狂う場合がある

コアの材質とメンテナンス

材質 特徴
SKD61などの工具鋼 高強度・高硬度で耐久性◎
ベリリウム銅(BeCu) 熱伝導率が高く、冷却が必要な箇所に有効
ステンレス鋼 耐食性が必要な特殊用途で使用

コアは製品形状に直接関わるため、摩耗や傷が出ると即品質不良に繋がります。
定期的なメンテナンスと寸法確認が重要です。

まとめ:コアとは

項目 内容
定義 製品の内側・空洞部分を作るための金型突起部
役割 内部形状の形成、冷却、肉厚制御など
種類 固定、スライド、リフト、回転など形状に応じて多様
設計ポイント 抜き勾配、冷却、変形対策、アンダーカット処理
注意点 トラブルが製品不良に直結するため高精度設計が必要

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