ゲートシール時間

ゲートシール時間(Gate Seal Time)」とは、射出成形中にキャビティへ流れ込んだ溶融樹脂が、ゲート部分で完全に固化し、キャビティとランナーが“遮断されるまでの時間”を意味します。

ゲートシール時間とは?

  • ゲート内の樹脂が冷えて固まり、通路が塞がれる(シールされる)までの時間

  • この時間までは、保圧の圧力がキャビティ内に有効に作用します

  • ゲートが固まった後は、保圧しても樹脂は流れ込まない=無意味になる

なぜ重要なのか?

目的・役割 説明
✅ 保圧の有効時間の目安 保圧が効いているのは、ゲートシール時間までです
✅ ヒケ・密度の改善 シール前までに保圧を適用することで、ヒケや収縮を抑えられる
✅ 成形サイクル最適化 保圧を長くしすぎると無駄なサイクル時間となる。短すぎると不良の原因に

ゲートシール時間の測定方法(実務的手順)

  1. 射出条件を一定にして複数ショット成形

  2. 保圧時間だけを1秒ずつ長くしていく

  3. 各ショットの製品重量を正確に測定

  4. 重量が一定になるポイント=ゲートシール完了時間

📌 この重量の頭打ちになるタイミングが、保圧が効かなくなった=ゲートシール完了の合図

ゲートシール時間に影響を与える要因

要因 影響内容
ゲートの形状・サイズ 小さいほど冷えが早く、シール時間も短い
金型温度 低いほど早く冷えてシールされやすい
樹脂の種類 熱伝導率や粘度の違いでシール時間が異なる
成形品の肉厚 樹脂の圧力保持が必要な時間が長くなるほど、シール時間も必要

ゲートシール時間が短すぎると?

問題 説明
ヒケ・ボイド 保圧が十分に効かず、収縮が起こる
密度不足 製品がスカスカになり、強度が低下
寸法不良 製品が設計値より小さくなる可能性

ゲートシール時間が長すぎると?

問題 説明
サイクルタイムの無駄 シール後に保圧しても意味がない=生産性が低下
過保圧によるバリ 金型合わせ面などから樹脂が漏れる可能性

実用上の目安(一般的な数値)

材料例 ゲートシール時間の目安(参考)
PP(ポリプロピレン) 2~5秒
PC(ポリカーボネート) 3~7秒
ABS 1.5~4秒
ナイロン(PA) 2~6秒
※ ゲートサイズ・金型温度・射出条件により大きく変動します

実務アドバイス

  • ゲートシール時間は保圧時間設定の「最小限値」を決める上で最重要

  • 保圧時間はゲートシール時間+0.5秒程度を目安にすることが多い

  • 成形条件を変えた場合(温度・圧力・速度など)は再確認が必要

  • シール後に圧力をかけ続けても圧力が抜けるだけで意味がない

まとめ

項目 内容
定義 ゲートが冷えて固まり、保圧が届かなくなるまでの時間
測定方法 保圧時間と製品重量の関係で判断
管理目的 適正な保圧設定・ヒケ抑制・サイクル最適化
応用 射出成形の不良低減・時短・品質安定に直結する重要項目

コメント

タイトルとURLをコピーしました